台湾の人々は、今や、香港に自分たちの将来をみており、それを快く思っていない、と述べています。
(出典 Shannon Tiezzi“How Hong Kong's Protests Will Shape Taiwanese Politics”Diplomat;Oct.1, 2014)
http://thediplomat.com/2014/10/how-hong-kongs-protests-will-shape-taiwanese-politics/
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論説は、香港の抗議運動に対して、台湾の与野党、運動家、国民いずれもが同情的であり、中国への警戒を強めている様子を、よく示しています。
台湾の中国に対する認識においては、世代間のギャップが大きく、若年層ほど中台関係強化への拒否感が強い傾向がありますが、今回の件を通じて、中台関係強化拒否の方向へ、ギャップが縮まったのではないかと思います。台湾で、対中接近路線が、ますます受け入れられなくなったことは確実でしょう。台湾が、当面現状を維持すること(すなわち、独立宣言をしない事実上の独立)は、台湾、日本、米国などのいずれにとってもプラスですが、香港のデモは、台湾の現状維持の方向に作用することになります。
論説は、馬英九と民進党幹部の発言の差には大きな隔たりがある、と言っていますが、国民党内でも「本土派」が力を増していますし、9月23日に訪中した統一派の野党「新党」に習近平が一国二制度を提示した際には、総統府は即座に拒否する声明を発しています。
香港の件で、中国が強硬策に出た場合、台湾人は一国二制度での統一を一層強く拒否するようになります。しかし、平和的に本件が収束した場合にも、大多数の台湾人は統一には賛成ではありませんから、結局、統一への賛否については大きな違いはありません。
したがって、国民党と民進党の対中政策は、少なくとも、統一問題に関しては、それを否とする方向で収束せざるを得ません。今回の香港デモの収束のあり方は、統一問題以外の中台関係の今後、国民党政権の支持率には影響を与えることになるでしょう。それは、11月29日に行われる、統一地方選挙の結果に、まず表れることになります。それを受けて、国民党、民進党が、次期総統選に向け、それぞれ統一問題以外の対中政策を、どのように打ち出していくか、注目に値します。
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