2024年4月25日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年7月15日

 しかし、南シナ海での紛争を平和的に解決する手段を見出すため、私は、地域の他の国々に以下のことに賛成するよう呼びかけている。

 ・各々自制し、平和と安定を守り、緊張を高めるような如何なる一方的行為も慎む。

 ・国連憲章、海洋法条約を含む、国際法の原則と精神を尊重し、対話を通じて紛争を平和的に解決し、航海・飛行の自由と安全を共同で支持する。

 ・全当事者が、平和と繁栄を高めるべく海洋協力と共通の行動規範に参加する。

 ・主権に関する争いを棚上げし、共同の計画の下で資源開発についての地域的協力メカニズムを構築する。

 ・環境保護、科学的研究、海洋犯罪対策、人道支援、災害救援等の非伝統的安全保障問題で協力する。

 島国である台湾にとり、海洋安全保障は国家安全保障を意味するので、私は地域の平和と繁栄を望み、上記3つの提案をしてきた。この戦略は、2回機能した。3回目も機能することを望む。台湾は、南シナ海の他の領有権主張国と平和的に対話し協力する用意がある。

出典:馬英九,‘A Plan for Peace in the South China Sea’(Wall Street Journal, June 11, 2015)
http://www.wsj.com/articles/a-plan-for-peace-in-the-south-china-sea-1434040267

* * *

 馬英九の提案が実現する可能性は乏しいと言わざるを得ません。米国務省のラスク報道官は、5月26日の記者会見で、「南シナ海平和イニシアチブ」を国際法の原則および精神を尊重するよう呼びかけたものとして称賛しましたが、問題は、主権に関する争いの棚上げが具体的に何を意味するかです。


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