2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年9月29日

 米国と関係国は、中国の更なる拡大を止めるために、出来る限りのことをすべきだ。物理的に阻止することは不可能だとしても、外交圧力を高め、中国の力に均衡するように関係国との関係を強め、現在の秩序を守るために軍事、非軍事の部隊を構築し、必要な時にはこれを使用する意図を示すことによって、中国にとってのコストとリスクを高めることはできる。もし中国が小さなコストで軍事的影響力を拡大できることになれば、中国は拡大行為を決して止めないだろう、と警告しています。

出典:Elbridge Colby & Evan Braden Montgomery,‘Changing Tides in South China Sea’(Wall Street Journal, August 25, 2015)
http://www.wsj.com/articles/changing-tides-in-south-china-sea-1440523898

* * *

 最近、米国では南シナ海に関連する警戒論が強まっているようです。この記事は、何が軍事的に問題なのか、具体的に有益な議論をしています。人工島に置かれる軍事力は重要な多くの軍事的利点を中国に与えると指摘しています。米国と関係国は協力を強化して中国にとってのコストとリスクを高めるべきである、との結論を含め、いずれも妥当な議論です。

 8月21日、米国防省は「アジア太平洋海洋安全保障戦略」報告書を公表しました。南シナ海での中国の埋め立て活動につき、比や越なども同様の活動をしているが、中国の活動は「規模と効果」において他国の活動とは基本的に性格を異にするものだとしています。また、8月25日にはワシントン・ポスト紙が「中国は南シナ海で注意してかかるべき」と題する社説を掲載し、8月28日には、共和党大統領候補ルビオ上院議員が、中国は東シナ海、南シナ海での挑発的行為を停止すべきだ、と訴えました。

 中国は、その振る舞いを再考せねばなりません。そのことを関係国は辛抱強く伝えていく必要があります。中国の今までの行動を見る限り、独善的な安全保障観とそれに基づく振る舞いには相当問題があります。

 この問題については、日本も、関係国と連携して抑止力向上を含む適切な対応をとるとともに、同時に、中国との対話などを進めエンゲージしていかねばなりません。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る