先進国・日本と比べて、あらゆる面でタイが劣っていると思われる方もいるかもしれないが、タイでも日本と変わらない部分があることをお届けしていきたい。まずは「バンコクのカフェ事情」。
ここタイでのカフェブームは地味に続いてきたが、ここ2~3年の成長ぶりは、特筆すべきものがある。なんといっても、前述したように日本に追いついてきた感もある。
ブームの特徴としては、日本ではセカンドウェーブ(スターバックスなどのシアトル系の進出ブーム)が隆盛を極め、その後、サードウェーブ(詳細は後述する)という段階的な発展を遂げてきたが、タイでは、セカンドウェーブはそこそこに、いきなりサードウェーブから火が点いているところがおもしろい。
もちろんクラシックなスタイルは現在でも残っている。日本にはないという意味では、屋台のコーヒー屋があるわけだが、布で淹れたコーヒーはわずか30バーツ(100円程度)ほどで注文ができる庶民の味方。しかし、もはやバンコク都市部の人間にとって、所得増加の象徴でもあるセカンドウェーブ系コーヒー(金額は日本とほぼ同じ)を片手に出社するのも日常的であり、何ら不自然な光景ではなくなってしまった。そこに現れたのが、サードウェーブだった。
サードウェーブとは、一般的に「1990年代後半から始まったコーヒーブーム、第三の波。特定の農園で栽培したり、淹れ方にこだわるなど、高価格ながらコーヒー本来の美味しさを求めていたファンのニーズにマッチした。ハンドドリップやサイフォンなどで1杯ずつ淹れるのが特徴で、日本では『BLUE BOTTLE COFFEE』(ブルーボトルコーヒー)の進出が話題となる」といったところだろう。
タイのサードウェーブのコーヒー店では、内装も日本さながら、カリモクのようなウッド系のファニチャーでまとめられ、焙煎機や高級なエスプレッソマシンを取り揃えるところも珍しくない。家具屋が興したカフェ&バーなども人気で、山手通りにあるカフェをイメージしてもらえればわかりやすい。
ちなみにタイのカフェ事情で補足しておきたいのが、ホットコーヒーを注文すると、通常はアメリカン(エスプレッソにお湯を加えただけのもの)となり、ドリップ(タイではフィルターとも言う)で出てくることはほとんどない。一方、エスプレッソマシンは小規模な店舗でも用意しているため、もしドリップがオーダーできなければ、ラテを注文するのをおすすめする(クオリティが無難のため)。前述した屋台で出てくるコーヒーは、非常に味が濃く、雑味も多いため、日本のコーヒーに慣れた方にはあまりおすすめはできない。「ドリップがなければラテ」。これを覚えておけば、残念な思いをすることは少ない。