2024年4月24日(水)

いま、なぜ武士道なのか

2009年10月10日

 ところが危機になるとこの構造が逆にはたらく。つまり、みんな逃げるということである。典型的な例がイエス・キリストの処刑の場面である。単に逃げるだけではなく、敵に密告して自己防衛をはかる。一人を引っ張るのと、一人をおいて逃げるのとは、自己防衛の裏表の関係にある。これは普遍的真理であるから、ことを為す人間は常に一人になる覚悟をしなければならないのだ。その覚悟がないと、大きな仕事はできないということでもある。人間社会はそれほど複雑なのであるが、『葉隠』を読むと、意外と単純に理解できる。「一人でも、ただしゃにむに突き進むだけ」という単純さである。ここが『葉隠』のすごいところである。

 

◆『いま、なぜ武士道なのか―現代に活かす「葉隠」100訓』

 

 

 

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