2024年7月16日(火)

家電口論

2015年12月12日

●自動化への道 〜メンテナンスフリーで強吸引力〜

ルンバ背面。中央のローラー部が、AeroForceクリーニングシステム

 そして2014年に画期的な技術、「AeroForce(エアロフォース)クリーニングシステム」が登場します。

 特殊素材のローラーでゴミを浮き上がらせ、ハイパワーモーターが生み出す気流で、ルンバ内部に真空状態を作りだし飛躍的に吸引力を高めた技術ですが、驚いたのはメンテナンス性です。

 掃除機のヘッドの大敵は、長い髪の毛。髪の毛は非常に丈夫なため、刃物を使わない限り、真ん中で切ることができません。これがヘッドローラーに絡みつくわけです。その髪の毛にゴミが絡まったりすると、ローラーが本来の役目を果たさなくなります。

 このため掃除機は必ずメンテナンスが必要です。

 ところが、 AeroForceクリーニングシステム特殊ローラーに関しては、ほとんど髪の毛が絡まない。また絡まったとしても極々簡単に除去できる。4人の娘がいる自宅でテストした時には、心底驚きました。

 これも完全自動化を前提にしているからこそ、このレベルの技術が出来上がったのだと思います。高い目標に対し、妥協しない。iRobot社の魅力です。

●自動化への道 〜家のフロア全部を掃除〜

iAdapt2.0 ビジュアルローカリゼーションのキーパーツ。デジタルカメラ・レンズ部

 高いゴミ処理能力が求められる機能の1つだとすると、もう1つは何か?

 それが今年導入された、地図を作りながら掃除を行い、掃除したところ、掃除をしないところが正確に分かるシステム「iAdapt(アイ・アダプト) 2.0 ビジュアルローカリゼーション」です。

 それまでのルンバは、初めの5分位適当に走り回り、掃除する面積を割り出します。その想定面積内の全ての所を4回、別の方向から掃除します。

 「ランダム・ナビゲーション」と呼ばれる手法ですが、これは短時間で、その場を掃除することができます。結果も優秀です。

 ただしそれはあるエリアを想定して成り立っているため、確実なのは一部屋。広くなるとしんどくなります。

 ルンバのコンセプトは、同一階のフロア全部を自動掃除ですから、これではダメです。しかし、それはナビの問題だけではなく、バッテリーの持続時間の問題、ダストボックスの容量問題など、いろいろなことを全てクリアする必要があります。

 ルンバ980に搭載された「iAdapt(アイ・アダプト) 2.0 ビジュアルローカリゼーション」のポイントはデジカメを使ったナビだということです。今、デジカメを使い、AIが状況を判断するのは、ロボット掃除機はもちろんのこと、自動車の自動運転システム、エアコンの自動風向制御など、家電でもいろいろなところに使われ始めている、ホットな技術です。

●掃除代行業者がルンバを使う

 実際に使って見ると、実に安定した動き。風格さえ感じさせます。「俺様に任せろ!」そんな感じです。開発者のケンは、「これ一台でOK」と言っていましたが、確かに。今までの様に、もう1台掃除機が必要とは思いません。

 ロボット掃除機は、ワンステップ高ステージに上がったと言えます。

 この原稿を書いている時に、プロのお掃除サービスが、ルンバ980とブラーバを使ったお掃除コースを設立したとの情報が入って来ました。レベルの高さを感じて頂けるでしょうか。


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