ダイソン ロボット掃除機 「360 eye」
●ダイソンの代名詞「サイクロンシステム」
今、日本の掃除機市場で最もブランド優位性を持つメーカーはダイソンでしょう。
その技術的特長でもある「サイクロンシステム」は、完全に市民権を得ました。
さて、皆さんはダイソンのロボット掃除機と聞いた時、何を期待しますか? 当然「サイクロンシステム」ですよね。
サイクロンシステム自体は、吸引力が変わらないシステムですが、ダイソンはそれを小型の強力な、ダイソン・デジタルモーターと組み合わせていますからね。
「吸引力が強く、変わらない、イイ掃除機」がダイソンのイメージです。当然、ロボット掃除機にも、それを期待しますよね。
が、サイクロンシステムにも弱点があります。それは、システム内で強力な空気の渦巻きを作らなければならないので、ある程度高さが必要である、ということです。
ところがルンバの稿で話しました通り、標準機であるルンバのサイズは約90ミリ。ダイソンはそれでもサイクロンシステムを入れてきました。高さは、120ミリ。ルンバより約30ミリも高い。
ロボット掃除機として不利です。私の家でも、掃除ができない所が出てきました。しかしそれ以外の所では、強烈な音を出しながら、どんどん吸って行きます。いかにもダイソンらしい掃除機です。
●強吸引力から導き出されたコンセプト「シングル・パス・クリーン」
ご自慢のシステムを搭載した「360 eye」の大きな特長は、あと2つあります。
1つめは、「シングル・パス・クリーン」。単純な言い方をすると、「360 eye」が一度通ったら、そこはもうキレイということです。この様なコンセプトを持った掃除機を私は知りません。通常、ゴミセンサーを取り付け、キレイになるまで往復する機能を持たせます。それをしないわけですから、吸引力に対する強力な自負を感じます。
しかし「シングル・パス・クリーン」でよいとなると、その他のハードルはグンと下がります。例えば、バッテリー容量。同じ面積をより短い時間で掃除できるので、かなり有利になります。ナビのプログラムもシンプルですみます。
360 eyeに用いられているのは、最近主流になっているデジタルカメラを使ったナビゲーションシステムです。ナビゲーションの元画は、360°パノラマ撮影された画像で、製品名の由来でもあります。
ただ、これはダイソン社自体の得意分野とは言えません。ダイソンは、自社の不得手な所は、投資をします。2014年にはロボットに強いインペリアル・カレッジ・ロンドンに500万ポンド(約8億5300万円)投資していますし、バッテリー関連も同様です。