WEDGE REPORT

2015年12月11日

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 すでにシリコンバレー周辺にはトヨタ、ホンダ、現代、フォルクスワーゲン、BMW、メルセデスベンツ、日産などが同様の施設を建設している。カリフォルニア州の自動車関連の雇用は2011年から15年で26%増加、15年現在では4万7000人となった。もちろんミシガン州での雇用者数32万6000とはまだ大きな開きがある。しかしミシガン州の雇用が工場などの単純労働者が多いのに対し、カリフォルニア州ではハイテク知識を持つ、給与も高い頭脳労働者が多いのが特長だ。

 さらに、カリフォルニアからは自動車産業の未来を変化させるような試みも次々に生まれている。自動運転はもちろんのこと、Uberのようなドライビングサービス、Turo、 Getaroundといったカーシェアリングサービスなどだ。こうしたサービスに関連し、例えば新手の自動車保険も登場している。サンフランシスコに本拠を置くメトロマイルはUberの公式保険会社として知られるが、車にGPSデバイスを取り付け「走った分だけ」保険料を請求する、というシステムで人気を広げつつある。

 ただし、シリコンバレーがこの先自動車の都になるためには数々の課題がある。カリフォルニア州は人口が多く、シリコンバレーの地価の高さは有名だ。同州は企業呼び込みのための法人税減免などが中西部の州に比べると少ない。そのため、トヨタがテキサスに移転したことは州政府に大きな打撃を与えた。今後もカリフォルニアで起業はするが、実際の生産などは他州で行う、という新規メーカーが増えるかもしれない。テスラですら、世界最大規模となるバッテリー工場はカリフォルニアではなくネバダ州での建設を決定した。

 ひとつだけ確かなのは、生産が他州に取られたとしてもシリコンバレーが存続する限り、ソフトウェア開発の中心としてカリフォルニアは残り、デトロイトのような寂れ方はしないだろう、という点だ。今後数十年にわたり、自動車関係の新しいトレンドはシリコンバレーがその発信地となるのは間違いない。

  
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