古いところでは本阿弥光悦の書「蓮下絵和歌巻断簡」があったりして、これなどは文字の意味はわからなくても、筆の流れを見ているだけで気持いい。
コレクションは、メナード化粧品の創業者野々川大介氏と、美寿子〔みつこ〕夫人が中心となってふくらんでいった。ご夫妻揃って絵が好きだったようだ。20年ほどたち、作品が1000点ほどになると、美術館を建てることになる。場所は野々川氏の生れ故郷であるこの場所になった。建物のめどは立ったが、開館を3カ月ほど前にして、美寿子夫人が亡くなった。悲しいことである。
大都市の中の美術館ではないが、入場者は多く、とくにリピーターが多いという。公立美術館の平均入場者が年間5万人というが、この美術館は7万から8万ほどあるらしい。おそらくこのほどよい大きさがいいのだろう。
【メナード美術館】
〈住〉 愛知県小牧市小牧5-250 〈電〉0568(75)5787
http://museum.menard.co.jp/メナード化粧品の創業者野々川大介氏が、自身のコレクションを展示するため、1987年に開館。印象派以降のヨーロッパ絵画、明治から現代までの日本画・日本洋画・彫刻作品を約900点、工芸・古美術作品を約500点所蔵。2009年4月にリニューアルオープン、展示室を1室増やし、多目的ホール「アネックス」を増設した。マリノ・マリーニの「馬と騎手」は開館以来の常設展示。洋画家の杉本健吉氏が生前「マリーニに会いに来たよ」と訪れることもあったという。「メナード」はバッカス神に仕える女神のひとりに由来。
〈開〉10時~17時(入館は16時30分まで)
〈休〉月曜(祝日の場合はその直後の平日)、展示替え期間、年末~1月1日
〈料〉一般800円 高校・大学生600円 小・中学生300円(特別展を除く)
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