『葉隠』は人の見方においても弾力的である。この世に完璧な人物がいないとすれば、よいところだけ学べという。まことに合理的な精神である。しかし、これは意外と難しい。なぜなら、人のよいところを見出しうる目を自分がもっていなければならないからである。
茶飲み話や酒の上での話は、たいてい人の欠点を拾い上げている。それが上司であったり同僚であったり、隣近所であったりする。なぜかというと、他人をこきおろすことによって自尊心が満足するからである。つまり酒の肴となるのである。ところがよくよく考えてみると、時には自分のプライドが保たれたかにみえるけれど、錯覚でしかない。他人を非難して満足するというのは、動機において不純なものである。だからその人は人間的に成長しえないのである。
まずは、人のよい点を見出す努力をしなければならない。
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。