2024年12月13日(金)

坂本幸雄の漂流ものづくり大国の治し方

2016年1月27日

 半導体業界のM&Aが活発化している。昨年5月には米国のアバゴ・テクノロジーが同じく米国のブロードコムを買収することで合意。オランダのNXPセミコンダクターズも米国のフリースケールセミコンダクターを買収した。

 日本でも、昨年3月に富士通とパナソニックがシステムLSIの設計・開発事業を統合してソシオネクストが誕生した。

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 私が社長を務めていたエルピーダメモリも、NECと日立製作所の半導体部門が合併して発足したが、日本は欧米に比べ追い込まれてからの再編が多い。競争力を失ってからの再編では、資金面をはじめとして戦う余裕がない。

 また、日本企業は欧米企業に比べて、手掛ける事業範囲が広すぎる。これでは経営者が事業の詳細を把握することができない。以前旧知の米国企業経営者に「日本企業の経営者はスーパーマンだ。米国企業よりはるかに事業範囲が広い。アメリカ人ではこんなに広い事業範囲をすべてみることはできない」とジョークを飛ばされたが、笑うに笑えない話だ。

 半導体業界を例にとれば、そもそも成功している企業は次の4パターンしかない。

 1つ目がIPで、これはCPUやメモリ、信号処理回路などLSIを構成する機能ブロックを指すが、インテルのマイクロコードやクアルコムの通信手段がこれにあたる。2つ目がノウハウを活かした戦略で、ソニーのCMOSセンサーとテキサス・インスツルメンツのアナログがこれにあたる。3つ目はデザインからパッケージまで最適に組み合わせる低コスト勝負で、サムスンやSKハイニックスが代表例だ。4つ目は圧倒的な生産能力で、サムスンに加え、TSMCもこれにあたる。

 エルピーダはモバイルに特化した。後にマイクロンに買収されたが、この部門で着実に利益を上げている。NXP、フリースケールは自動車に、インテルはPCとサーバ用CPUで勝負をしている。


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