近ごろでは部下の過ちを正すことさえも難しくなってきている。自由と平等の誤解がそうさせているのである。しかし、上司のそれよりはたやすいといえる。つまり部下には忠告を受け入れる姿勢ができているからである。ところが、上司は一般的には教える立場にある。その教える立場の者に忠告するということは、あまり正常な姿ではない。だからこそ双方に抵抗感がともなう。それでも、時と場合によっては蛮勇を奮わなければならないことがある。それが諫言である。この諫言の成否はどこに求められるのかというと、私心があるか否かである。つまり真心からのものであれば相手方にその意志は通じるのである。それが自分の手柄とばかりいいふらせば私心となり、それでは相手も承知しない。
武士道とは、荒々しいばかりではない。人の気持ちに細心の注意をはらい、武士の生き方を追究したものである。ビジネスの社会においても何がしかの参考になるところである。
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