2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2016年2月9日

注目のイエレン議会証言

 この状況についてグローバルマーケットアナリストの小池正一郎氏は「1月の経常収支が大幅黒字になるなど、根源的なマーケットの需給関係が変わってしまった。今日はヘッジファンドが売り浴びせるセリングクライマックス状態だったのではないか。次はイエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長が10日、11日の米国議会証言でどのような証言をするかが、今後のマーケットの重大関心事になる」と予測する。日本の経常収支の黒字が大きくなれば、相手国はドルを日本に供給しなければならなくなり、ドル売り圧力が高まり、円高ドル安の一つの要因になる。東日本大震災以降、しばらくは、高い価格での原油輸入などが急増して貿易収支の大幅赤字が続いていた。

 イエレン議長が米国の利上げについて、当初は今年中に数回上げるのではないかとみられていたが、先週末の1月の米国雇用統計が予想より弱かったことなどから、景気の先行きに対して自信が持てなくなっているのではという見方も市場に出てきている。こうした弱気の景気見通しに傾けばイエレン議長は利上げに慎重な発言になるかもしれない。そうなれば、ドル安となり円がさらに買われる局面になる可能性がある。いずれにしても、イエレン議長が利上げのペースについてどのような表現をするか目が離せない。 

 一方、日銀の次の金融政策決定会合は3月14日まで開かれない。それまでの間に、一層の円高株安が進行することになれば、日本経済への悪影響は避けられない。中国経済の減速の影響に加えて、いまは好調の自動車などの業績が円高で一挙に赤字に転落する恐れもある。

 中国経済の減速、原油価格の大幅安という外部環境の変化に端を発したマーケットの激震に対して、金融緩和だけではもはや太刀打ちできなくなってきている。


  
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