つまり、決済分野におけるFinTechベンチャーの活躍は、日本のクレジットカード利用やEコマースの拡大へつながり、中小事業者への助け舟となる可能性が非常に大きい。
決済FinTechベンチャーの具体例
決済分野と言っても、その技術や利便性は様々なので、ここで具体的な決済FinTechベンチャーの大手数社を具体的に紹介したい。
“Making Commerce Easy(商いを簡単に)”と、eコマースや個人事業主向けの決済ソリューション(クレジットカードリーダーやPOSレジ等の売上管理ソフト等)から始まり、労務や営業管理ソリューションまで総合的な中小事業サポートを世界展開中なのは Square, Inc.。昨年11月に株式公開したばかりで、時価総額は約27億米ドル(3200億円程)。CEOのJack Dorsey氏(39歳)はTwitterの共同創始者でもある。
また、こういったオンライン決済サービスを開発するツール(開発キット・プログラムやデータ)そのものを提供しているのが Stripe。禅問答のようだが、確かに決済分野FinTechのベンチャー企業は中小事業であり、それ自身こういったサポートサービスが必要。
もともとはインド最大のデジタル・モバイル市場 Paytmを運営しているのは One97 Communicationsだが、この会社は出店しているEコマース会社に決済ソリューションもビジネスとして提供。
オムニチャネルでグローバル決済するコンセプトなのが米国発の決済ソリューション会社 Adyen。ホステッド環境((顧客が)ITサーバーやシステム等を自社で所有するのではなく、必要なぶんだけ借りるという形態
)、セキュリティー完備、そしてAPI直で決済ページをデザイン可能。決済環境のアウトソーシングに近い形といえる。
国際決済に注目し、外為の電子マッチングプラットフォーム(交換レートは中値)を提供しているのがTransferWise。ロンドン発の国際決済アプリ企業。
参考までに5社取り挙げたが、それぞれただ決済を提供しているだけでなく、それぞれ独自の機能やコンセプトを明確にしている。中小企業にとって、事業拡大、海外展開、戦略立案等にこれ程頼りになる。繰り返しになるが、決済FinTechベンチャーの活躍と、日本の経済への貢献を大いに期待する。
※おことわり:本コラムの内容は全て執筆者の個人的な見解であり、トムソン・ロイターの公式見解を示すものではありません。
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