2024年12月22日(日)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年2月11日

 中国の景気後退が叫ばれる中、その実態はどうなのか? 今日は中国の春節の初日、今年は中国東北地方の玄関とも言える大連で春節を迎えている。大連港を見渡せるサービスアパートの一室でこの原稿を書いているが、階下では爆竹の轟音が響いている。

春節の買い物客で賑わう広州の街(iStock)

 ところで、本文に入る前に一言、言わせて頂きたいことがある。それは、私がウェッジインフィニティに寄稿させて頂く目的の一つは、日頃中国とあまり関わりのない読者が、私の話を聞いてどのように感じるかを知りたいということである。私の周りにいる中国で活躍する日本のビジネスマンに私の話をしてもお互い共感するだけで、最後は、日本の本社の役員がなかなか理解してくれなくて、という愚痴で終わってしまうこともある。

 しかしながら、私や私の周りにいるビジネスマンのように日常的に中国と直接接する機会のある日本人は、日本の人口のほんの一部分のはずなので、日本の世論の形成過程において、実は中国と接しない人の意見の方がより影響力があると考えて差し支えないであろう。だからそうした一般の読者の見方を知ることにより、日本の世論の趨勢を見極めるための一助になるのではないかと考えている。

 ネットは私の寄稿に対する読者の率直な意見を目にすることができるので面白い。「中国は崩壊しないとした記事」についても、私が想像したよりも日本の読者は冷静に中国を観察していると感じた。一方、やや気になったのは、私が日中ビジネスに関わるコンサルタントなので利害関係者であり、中国が崩壊しないことを期待している、との意見があったことである。この点については私のポジションを正直にお伝えしていきたいと思う。中立公平なんて偽善的なことを言うつもりはないので、そういうポジションの人間の発言としてご理解頂ければ幸いだ。

まだまだチャンスはあると見て新たな投資もしている

 1.私は1993年に日本のささやかなマイホームのマンションを処分して銀行員として上海に赴任した。

 2.98年に銀行を離れた後に自分の事業を始め、その後全財産を上海に投じ、マンションを買い、会社の資本金にも当てた。

 3.これまで蓄積したネットワーク、リソースも日中間が中心。

 4.従って、中国に崩壊されて不利益を被ることは確かで、崩壊しないことを願っている。

 5.一方で中国のリスクには敏感で、本当に危ないと思うのであれば中国の資産を引き上げて日本に帰ることも考える。

 6.それをしていないのは自分なりの分析の結果。資産保全ができるばかりでなく、逆に、まだまだチャンスはあると見て新たな投資もしているのが現状。逆に日本にだけに資産を保有するのもそれまたリスキーとも感じる。

 7.日本では中国に対するリスクばかりが強調される報道が目立つが、そうは考えていない現場の日本人が私を含めて多いので、日本の読者には色々な立場の人の情報を吟味した上でご自分の判断をして頂きたいと考え、ウェッジの場を借りて自分なりの考えを述べさせて頂いている次第。


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