ワインメーカー、アンドレ・チェリスチェフ
シアトル郊外のウッディンビルにあるワイナリー「シャトー・サン・ミッシェル」に前衛的なワインメーカー、アンドレ・チェリスチェフ氏が迎えられたのが1960年代中頃。彼の醸造技術は「シャトー・サン・ミッシェル」を大成功に導き、同時にワシントン州全域に彼の素晴らしいワイン製造方法が伝授されていった。そして1970年代に入るとワシントン州のワイン産業は大きく飛躍することになり、ワイナリーの数は瞬く間に増えていった。
現在、ワシントン州はカリフォルニア州に次ぐ全米第2のワインの産地となり、州内のワイナリーの数は650を超える。ヤマキ・ヴァレー、ワラワラ・ヴァレー、コロンビア・ヴァレーなど、米政府承認ブドウ栽培地域は11カ所にわたり、シアトル周辺には有名ワイナリーのテイスティング・ルームがたくさんある。冒頭にも記したように、優良企業を擁するシアトルの豊かさは街を歩くだけで実感出来る。落ち着いた雰囲気の中に華やぎと賑わいがバランス良く共存して、レストランやバーも大盛況である。豊かさはグルメを呼び、彼らの肥えた味覚がさらなる美味しさを生み出す。そしてその美味しさに呼応するかのようにワインの質も上がっていくのだ。この豊かさを反映しているシアトル周辺の代表的なワイナリーをいくつか紹介してみよう。
シャトー・サン・ミッシェル
シアトルから車で約40分の距離にあるウッディンビルは、州内にあるワイナリーのテイスティング・ルームが集まった小さなワインの町だ。この町の中心に建つシャトー・サン・ミッシェルは州内で最も長い歴史を持つワイナリーで、禁酒法が廃止された1934年に設立された。徹底した品質管理により高いクオリティを維持し、多種類のワインで多くの賞を受賞し続けている。ちなみにリースリングの生産量は全米一である。
敷地面積が87エーカー(10万6500坪)もあり、ここでは白ワインの製造が行われている。館内にはテイスティング・ルーム、ギフト・ショップ、そしてパーティー・ルームがあり、夏にはトップ・アーティストを招いて、所有する隣接の野外コンサート会場でシーズン・コンサートを開催している。週末にはシアトルからワインを求めて多くの人がここを訪れる。全体的に飲みやすく誰でも楽しめるワインが多いので、シアトル周辺では最も親しまれているワイナリーである。