2024年4月20日(土)

Wedge REPORT

2016年3月14日

シェフを養成

 今度はこれを宅食配ビジネスで試してみようと、宅食配事業を展開しているレパストと組んで、2月から首都圏でスタートした。月曜から金曜日まで朝食と夕食をセットで届けるもので、5日間、10食分で1万1000円(配送料込み、税別)と、いまある宅食配と比較すると価格は高めに設定している。タニタブランドが浸透してきたことから価格的には強気の設定になっている。価格競争の激しい宅配事業で、タニタのブランドが功を奏して売れるかどうか真価が問われる。

 これだけ多店舗展開をするためには、きめ細かいメニュー管理が求められる。これを実現するため、半年に1回のペースで「タニタシェフ養成コース」(15人程度)を開設した。タニタ食堂などでタニタメニューを提供するために、このコースを卒業したシェフを配置して、クオリティーコントロールを心掛けている。「養成コース」では座学から、野菜の切り方まで教える実習を含む1カ月弱の期間みっちりとタニタコンセプトを教え込まれるという。

 谷田社長は「ここを卒業したシェフが作っているので安心して任せられて、再現性が高い」とシュフ教育の重要性を強調する。宅配の食事を作るレパストの調理場にもこの「養成コース」の卒業生が目を光らせているという。

中国では挫折も経験

 国内の食ビジネスでは成功したが、海外では思うようにはいかなかった。14年9月に中国のITソリューション・サービスのNeusoftコーポレーション傘下の東軟熙康健康科技有限公司(遼寧省瀋陽市)と包括的な業務提携を結び、中国で健康管理食事事業を展開しようとした。テスト店舗となる中国1号店を瀋陽のNeusoft本社内に出店したが、調理をする料理人に食材や調味料を計測するよう何回も指導しても、計測をしてくれなかった。経験と勘に頼った味付けを行い、タニタの大原則であるはかって調理するといったメニューができなかった。

 さらに思うような食材の調達が難しく、谷田社長は「海外で食事を提供する難しさを痛感したが、良い勉強になった。次の段階に生かそうと、いまは休止している」と話す。 一方で、訪日外国人が急増してインバウンドビジネスが流行っている。谷田社長は「日本の伝統的な食文化の和食が13年にユネスコの無形文化遺産に登録された。和食の一汁三菜のメニューはタニタ食堂の定食の形式だ。日本古来のやり方を守っているので、これを押し出していきたい」と、訪日外国人にも和食の良さを分かってもらう機会を提供しようと考えている。

  
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