たとえば2015年12月には、アルジェリアからSu-32爆撃機(Su-34の輸出バージョン)12機の発注があった。チカロフ記念ノヴォシビルスク航空機工場のセルゲイ・スミルノフ社長によると、こういう話は8年近く前からあったものの、あまり熱心なものではなかった。ところがこの爆撃機がシリアで成功裏に運用されたことで、交渉に新たな契機が生まれた。「ジェーンギ」の得た情報によれば、アルジェリア軍向けSu-32の最初の1個飛行隊は少なくとも5-6億ドルになり、今後さらにオプションで6-12機を購入することも排除されていない。
この交渉と並行して、アルジェリアからは、Su-35S戦闘機の飛行性能やレーダー及び搭載武装の性能をテストするために同戦闘機1機をタマンラセット演習場でテストしたいという要望も寄せられた。アルジェリアのパイロット達には評価用の機体が用意されており、その後、同戦闘機10機以上の購入に向けた予備交渉の開始が期待されていると「ジェーンギ」の情報源は語る。これだけの数の契約が固まれば、8億5000万から9億ドルに相当する。
今年に入ってからも、Il-76MD-90A軍用輸送機2機に関する交渉が続いている(契約が調印された場合には、アルジェリアは2017年にも2機を受領することになる)。同国に関しては、約40機のMi-28NEヘリコプターの売却合意締結ももう一つの成果となりそうだ。その第一陣はすでに発送の準備が整っている。この場合、シリア作戦の果たした役割はやや小さいということになろう。というのも、これらの機体はすでにイラクが対IS作戦に投入しているからだ。とはいえ、専門家によるとアルジェリアとのMi-28NEの契約は6-7億ドルになるという。
インドネシア、べトナム、パキスタンも関心
Su-35については、インドネシア、べトナム、パキスタンも関心を示している。これらの国々はいずれもソ連ないしロシアの航空機を運用した経験を持つが、どれも自国の航空戦力を大幅に近代化したいと考えている。インドネシアとヴェトナムは以前に調達したSu-30MK2に加えてSu-35を導入しようとしている。ジャカルタは10機を購入するとしており、「ジェーンギ」の情報によるとハノイは1個飛行隊分の調達を交渉する意向である。いずれも契約額は10億ドルを超えており、インドネシア軍はそのための資金を要望している。
パキスタンに関しては、状況はやや複雑である。経済状況が苦しいことに加え、インドとの関係における地政学的側面が潜在的な契約の障害となる。イスラマバードによるMi-35ヘリコプター4機の導入はデリーの否定的な反応を呼び起こした。このため、ウラジミール・プーチンはインドのナレンドラ・モディ首相に対し、これはISとの戦いのみに用いられるものであると個人的に釈明せざるを得なくなったのである。「ジェーンギ」の情報源によると、パキスタン軍が購入するのは多くてもせいぜい6機程度であるというが、これだけでも5億ドルにはなる。