2024年7月12日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年4月25日

 この社説の主張は当然の主張です。

 国際法の基本規範を侵犯したロシアによるクリミア併合を既成事実として認めることは、国際法の侵犯を常態化することにつながります。日本は、紛争を国際法に沿って解決することを戦後ずっと主張してきました。そういう立場に鑑み、国際法重視を外交の基本とすべきでしょう。

 それだけで国益が擁護できるわけではありませんが、日本のような武力の行使に頼る度合いが少ない国にとっては、国際法重視は、日本の国益を守ることにつながります。

シリア問題に気を取られ忘れられたクリミア

 クリミアの状況はあまり報道されていませんが、この社説がいうようにひどい状況です。「ロシアに来れば、年金4倍、公務員給与4倍」という住民投票前のプロパガンダがどれくらい実現されているのかはっきりしませんが、ロシア財政の困難に鑑みると、そうはなっていないでしょう。クリミア経済が大いに潤っていると言う話はありません。

 クリミアの電力事情は、ロシアから小型発電機を輸送していますが、主たる送電線が停止する中で、クリミアの電力需要を満たせていません。電力不足は生活、産業に多大の悪影響をもたらしています。

 東部ウクライナでの侵略と停戦実施問題、シリア問題など、ロシアが起こす問題に気を奪われて、クリミア問題を忘れさせられるような状況がありますが、忘れてはいけません。

 状況が変わらないのに、制裁解除はすべきではありません。

 シリア情勢の安定化のためにロシアの協力がいるから、ウクライナ制裁は緩めるべしと言う議論は、シリアでのロシアの冒険主義、アサド政権支援行動に褒美を与えるようなもので、筋違いです。そもそも今、ロシアは、シリアから引き上げつつあります。こういう議論は、ロシアのプロパガンダ工作に影響されて出てきているものと言って間違いないでしょう。

  
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