2024年12月22日(日)

サムライ弁護士の一刀両断

2016年5月19日

 いずれにせよ、日産と三菱自動車は既に協力関係にあったわけですから、日産としては、三菱自動車の不祥事発覚により株価が下落している今こそ、株主となって両社の結びつきを強化する絶好の機会だと判断したことは想像にかたくありません。

不祥事が想定外に拡大した場合、白紙に戻る場合も

 もちろん、今回の資本業務提携にはリスクもあります。三菱自動車の不祥事については、発表されたばかりでまだ全容が分かりませんので、今後、不祥事の影響が想定以上に拡大することもありえます。そのような場合に、日産としてはどのような対応をとることが予想されるでしょうか。

 まず、資本業務提携は現時点では、基本的な方針のみが決まった段階にすぎないようです。日産が発表している資本業務提携のスケジュールによると、今後は、正式な資本業務提携契約の締結を経て、8月までの間に日産が三菱自動車に対して「デュー・ディリジェンス」を実施し、最終的に10月頃に出資が完了するという予定になっています。

 一般的に、ある企業が他の企業に出資しようとする場合、出資対象となる企業にどのような課題が存在するのか、あるいは隠された問題点はないかどうか、会計士や弁護士といった専門家を交えたチームが企業の内部に入って調査し、分析する作業が行われます。このような調査を「デュー・ディリジェンス」といいます。

 そして、通常の場合、資本業務提携契約の中には、デュー・ディリジェンスの結果、想定外の問題点が発見された場合には契約を見直す場合や、資本業務提携を白紙に戻す場合もあることなどが規定されます。

 今後の調査次第では、資本業務提携契約が白紙に戻される可能性もあるでしょう。

 もっとも、今回、日産は三菱自動車に燃費試験データに不正な操作があることを前提として資本業務提携を決めました。既に発覚している不正行為を理由としては、資本業務提携そのものが取り止めになることは考えにくいでしょう。


新着記事

»もっと見る