デュー・ディリジェンスの結果、最終的に資本業務提携が実施されないことがあるとしても、それは未発見の不正行為が新しく見つかった場合など、不祥事の影響が当初の想定を大きく超える事態となった場合に限られるのではないかと推測されます。
自動車業界の再編を加速する日産の決断
今回、三菱自動車に不祥事が発覚したそもそものきっかけは、日産の指摘によるものだったという報道もあります。その日産が、不祥事の発表直後にスピーディに資本業務提携を発表したことで、一部には「日産は三菱自動車をうまく買った」と冷ややかに見る向きもあります。
しかし、ある企業に不祥事の可能性があることを知った場合、それを指摘するのは当然のことです。そして、企業に不祥事が発覚した以上、それを調査し公表するのは企業の使命であり、特に上場会社にとっては適切に開示することが重要な義務とされています。その結果として、株価が下落するのも当然の結果でしょう。株価が下落したタイミングで出資を決断したことについては、そもそもの指摘が的確なものであった以上、非難の対象になるものではないように思われます。
それよりも、不祥事を抱えていることを承知の上で、巨額の出資を前提とする資本業務提携に踏み切ったことはやはり大きな決断であり、自動車業界の再編に向けた意欲を感じます。
今後、両社がどのような業務提携を行いシナジーを生み出してゆくのか、注目したいと思います。
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