現代日本のインターネットを「炎上」なしには語れない。そこかしこで起こる炎上騒動。燃え盛ったあとの「かけら」から、事象の全体や人々の心理を紐解いていく。
女子大生による接待企画
「現地までフライトキャンペーン」
GW明けから話題になった炎上騒動2件、どちらもジェンダー絡みだった。1つは小・中学生の女子に声をかけて撮影した写真を扱った「声かけ写真展」。2つめはH.I.S.の東大美女図鑑騒動。今回はH.I.S.のほうを取り上げたい。
これは、5月11日から始まった「東大美女図鑑の学生たちが、あなたの隣に座って現地まで楽しくフライトしてくれるキャンペーン」。抽選で5組の旅行者に現役の東大生(美女)が1人ずつ同行し、機内でいろんなおしゃべりをしてくれる「オプション」を提供するというものだ。実際に「オプション」という言葉が使われている。
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*画像はキャンペーンとは無関係です
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たとえば、工学部建築学科4年の女子大生は「世界のマイベスト建築を語って」くれ、文学部行動文化学科の3年生は「教養のある雑学を語って」くれるそうである。自分の専攻分野について語ってくれるのかと思えばそうでない場合もあるようで、理科二類2年の女子大生は「お笑いについて熱く語って」くれるそうだ。これは、まだ進学する学部が確定していない2年生だからという配慮なのか、理系のうんちくなんて素人には退屈だろうという配慮なのか。
そんなことはどうでもいいのだが、この企画を聞いて、まあ多くの人が連想するのは「女子大生による接待」だろう。「あ、接待だよね」という認識は、批判する人、しない人どちらにも共通していたと感じる。批判派にならなかった人たちは、「接待だよね。でもまあそういうのがあってもいいじゃん」というスタンスだったように見えた。