アクアショップでクレソン用の新たな大きな容器を、ベランダ―が買い求めようとすると、小柄で太ったなまず店長(平田敦子)と、マネジャーの鉢須賀(山本剛史)が現れる。クイズに答えて、正解ならタダ、不正解なら10個買い上げる、という提案がなされる。
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クイズは、グルメ、映画、プロレスから選べる。ベランダ―は映画を選ぶ。
質問は、SF映画「ブレードランナー」の原作とは?
ベランダ―は、しまったという表情で答えに詰まる。弟子の柊は「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」と正解を答える。ふたりはおおきな水槽を手にして店を去る。
不思議な笑い
なにごとにも、まじめに取り組んで、それがどこか不思議な笑いとなる、いとうせいこうワールドをドラマは生かしている。
原作は、基本的に新聞の連載をまとめたもので、植物をひとつずつ取り上げる1篇は短い。あたかも「徒然草」のようである。そこには、植物を通して、人間のさまざまな生き方が投影されているようである。まもなく訪れる梅雨とベランダ―のかかわりが綴られる。
「ある意味、この時期は一年を通して最も難しい。ベランダ園芸家の腕が問われる季節と言えるだろう。
なにしろ、ついこの間までは春を謳歌し、浮かれていたのである。それが急に雨がちになる。梅雨に備えて怠りなく気持ちを引き締めようとしている矢先に、走り梅雨となってしまう」