2024年11月22日(金)

WEDGE REPORT

2016年6月17日

空爆への復讐が動機

 米フロリダ州オーランドのナイトクラブで、米国史上最悪の銃撃事件を起こしたオマール・マティーンもフェイスブックに書き込みをし、バグダディに忠誠を誓っていたことが明らかになっている。

 マティーンは「米国の空爆によって罪のない女や子供が殺されている。今度はISの復讐を味わうがよい」と記し、テロの動機がISに対する爆撃の報復であることも鮮明になった。

 問題は、マティーンにしろ、フランスのテロ実行犯アバラにしろ、“危険人物”として捜査当局から監視対象にされていた経緯があることだ。ノーマークの人間が事件を起こしているのではなく、当局がしっかり監視を続けていれば、テロを未然に防止できた可能性があるのだ。

 マティーンは2013年に職場の同僚にイスラム過激派を称えるような発言をするなどして連邦捜査局(FBI)の調べを受け、約1年間、テロ監視リストに載せられたが、その後、リストから外された。14年にも米国人の最初のIS自爆犯との関連で調べられたが、嫌疑不十分で不問にされている。

 フランスのアバラも13年、パキスタンで戦う戦闘員を徴募しようとして逮捕され、3年間の実刑判決を受けた。しかもアバラは親類の1人がシリアに向かったことが明らかになった後、盗聴監視の対象者になっていた。

 昨年11月のパリの同時多発テロや3月のブリュッセルの同時自爆テロでも監視対象者が事件で大きな役割を果たしていた。人員不足や24時間の長期監視は不可能であるという事情があるにせよ、米国とフランスの直近の2つの事件を防げなかったのは、一連のテロの反省を生かし切れなかったため、との批判は強い。ISテロ部隊の欧州潜入に関する捜査も含め、新たなテロの発生をなんとしても阻止しなければならない。

  
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