2022年11月30日(水)

WEDGE REPORT

2016年7月1日

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社外取締役だけで問題解決にはならない

ーー 日本の社外取締役を見ると、取引企業の元役員、主要銀行のOB、監督官庁からの天下りなど利害関係者が多い。月に1、2回しかない取締役会に社外取締役が出席しても不祥事の発生を防ぐことはできないのではないか。

ジャッジ氏  社外取締役を入れたからと言ってすべての問題が解決できると思うのは間違いだ。不祥事が起きたフォルクスワーゲンも社外取締役がいた。利益を上げようという圧力が掛かる会社、監督が不適切な会社では、案件がそもそも取締役会に上がってこない。社外取締役は問題を全部は解決できなくても、その会社の企業文化を感じ取り理解することができる。その上で良き企業文化を探求してくれる優秀な執行役を選ぶことができる。確かに月に1、2回取締役会に出たくらいでは会社の利益数字がどうなっているのかは分からないだろう。しかし、企業文化(カルチャー)を作ることはできる。そのカルチャーを企業の隅々まで浸透させることができれば、中間管理職や社員が正しいことをすべきだと感じるようになるのではないか。

衝突する企業文化

ーー 日本では今年5月に、社外取締役がメンバーの指名委員会が代表権のある会長の辞任を求めるという異例の事態が起きた。社外取締役は会社のトップ人事にどの程度関与すべきか。

ジャッジ氏 英米では社外取締役が会長を任命し、会長と執行役、社外取締役が一緒になって最高経営責任者(CEO)を決めているが、日本で今起きているのは、コーポレート・ガバンンス・コードという新しいやり方が登場して、日本的な古いやり方とぶつかって摩擦が起きている状況だ。これが突然起きたので、摩擦が目立っている。いま日本の企業は新しいものを導入して学習しているという段階ではないか。指名委員会に会長を任命できる権利が与えられたからと言って、皆が見ている前で会長の首をすげ変えることなどはしないもので、その前に会長と社外取締役は十分な話し合いが行われている。

 英国でも社外取締役を導入した時は抵抗する意見があった。新しい制度が定着するには時間が掛かる。1年で奇跡的なことが起きることはあり得ない。

ーー 株主に対してスチュアードシップ・コード(SSC)が求められ、会社側と対話するように求められているが、ガバナンス向上の面からどのような効果が期待できるか。

ジャッジ氏 会社は誰のものか。株主が会社を所有しているから、株主は会社と話すことができるはずだ。株主は以前、会社のやり方が気に入らなければその株を売り、背を向けるだけだったが、いまの時代は会社と話し合ってみようという傾向になってきている。株主が会社と話し合えば、会社をサポートするというようになるかもしれない。英米でも最初、株主は株主総会でもほとんど発言しなかったが、いまでは叫び合うように発言している。こうした発言する株主(アクティビスト)は企業の長期的な利益にはほとんど関心がなかったりすることもある。一方で長期の株式保有者も発言するよう奨励されている。SSCが導入されたということで、日本の株主も徐々に物言う株主になってくると思う。

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