2024年7月16日(火)

WEDGE REPORT

2016年7月1日

働く女性に不利な社会構造

ーー 日本は欧米と比較して女性の社会進出が大幅に遅れている。その原因は何か。

ジャッジ氏 最大の問題は子育て、保育だ。日本は移民を受け入れていない。雇うことにより、子守りや子育てをしてくれる階級というものがない。介護や子育ては女性がするものだとみなされている。それをやりながら仕事をしなさいというのは無理だ。保育施設が十分でない。さらに税制が働く女性を利する形になっていない。長時間労働で男性中心の社会になっている。すべてのカードを積み重ねると女性が働くことに反する形になっている。これでは女性がキャリアを伸ばそうと思うと、子供を産むのはあきらめざるを得ない。子供を見てくれる親か移民がいない限り難しい。

ーー 英国の場合、子育ては誰がしてくれるか。

ジャッジ氏 移民ではないがナニー(乳母)と呼ばれる子育て専門の人がいる。このほかに子育てや家事を手伝うフィリピンや東欧からきた移民の人たちが多くいる。私の子どもが小さかった頃はフィリピン人を雇い、私自身が小さかった頃はカリビアンから移民の人がいた。ナニーになるには専門の学校があるくらいで、お金も掛かる。しかし、ナニーは子育てのことしかしない。家事手伝いをしてくれる移民の人は掃除から何でも手伝ってくれる。ナニーの費用は移民の倍くらいだ。ナニーの給料は秘書と同じくらい高く、普通の人は雇えない。

ーー 安心して子育てができるようにするためには何が必要か。

ジャッジ氏 英国と日本に提案したいことは、子育てにかかる費用を所得から控除できるようにしてもらいたい。子育て費用は働くための経費と見ることができる。そうすれば女性は仕事をしやすくなる。

ーー 夫の役割も重要になるのでは。

ジャッジ氏 その通りだ。夫のサポートがないと働く女性が仕事を続けるのは不可能に近い。手伝うのが嫌でも、ほかの人がサポートするのを気にしないでもらいたい。

ーー 日本は移民に対して強いアレルギーがあり、国民が認めない。どうすればよいか。

ジャッジ氏 5年くらいに期限を限定した短期の移民にすればよい。そうすれば居残る心配もない。専門的な技術・職業を持った移民の短期間の移住、「限定的移民制度」が良いのではないか。これなら日本国民も理解してくれるのではないか。これを導入すれば、日本だけでなく世界は間違いなく変わる。不可能ではない。私はこの新しいアイデアを積極的に主張しようと思っている。

  
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