2024年7月23日(火)

風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2010年1月14日

 「敢えて悔しい思いをさせることの意味は、『プラス思考』すなわち『問題にぶつかっても何とかなる』と思える思考の方向性を育てることです。できないことにぶつかりそれを超えた体験を積み重ねることが『プラス思考』を育てます」(天野園長)

 逆に周囲が常に手を差し伸べ、すべてが順風満帆で過ごした人間が、ある程度成長して、問題にぶつかったときにはどうなるのだろう? しかも、成長してからぶつかる問題とは、幼児期にぶつかる問題よりはるかに困難であることが多いだろう。そして、そのときはまず間違いなくやってくる。それに立ち向かえる基盤をつくるのが幼児教育だ。

 つまり、年齢や個人の成長段階に応じて、その個人にとって「難しいけど越えられる」と判断できる問題にぶち当たる機会を意図的につくりだし、「悔しい思いを体感する」→「どこがだめなのか、どうすればうまくいくのか、を分析する」→「行動によってその壁を越える」という経験を繰り返し積ませていくことこそが、幼児期の教育には欠かせないのである。

 同じ教育意図をもったカリキュラムとして、密着レポート第12回では「紙工作(円盤づくり)」を紹介したが、実際に「なわとび」は「円盤づくり」に比べて、格段にハードルが高くなっている。それは、“どこがうまくいかなかったのか” “どうすればうまくいくのか”を考えたとしても、その問題を解決するには肩を回し、足腰を使ってジャンプし、縄を飛び越えるという高度な身体コントロールが必要になってくるからだ。

 実はこの壁を乗り越えるときには、仲間の存在が大きな役割を果たすことになる。そして、問題解決力の他にも子どもたちは大切なことを学ぶことになる。学級通信で先生が親に対して「家で練習させないでください」とわざわざ念を押すのは、これを見据えてのことでもある。

では、子どもたちは仲間とともに「なわとび」を通じて何を学ぶのか? 次回はそれを見ていこう。

※次回の更新は、1月21日(木)を予定しております。

風の谷幼稚園
園長・天野優子氏が、理想の幼児教育を実現するためにゼロから建設に乗り出す。様々な困難を乗り越え、1998年に神奈川県川崎市麻生区に開園。「人間が人間らしく、誇りを持って生きていく」ための教育を実践している。

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