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2016年8月10日

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アップルの今

 4~6月期の世界市場のスマートフォン販売台数は3億4240万台で、昨年同期からほぼ横ばいになっている(IDC)。アップルのiPhoneの販売台数は昨年同期比で-15%だが、売り上げは-23%とさらに落ちている。これは今年3月に投入した廉価版モデルiPhone SEによって、平均の販売単価が下がったためだろう。IDCによればiPhone SEは新興国市場だけでなく、先進国市場でもAndroidのスマートフォンからの乗り換えや新規にスマートフォンを購入するユーザーを獲得しているという。

 「サービス」に分類されるアプリや音楽配信などのインターネットサービスやハードウェアの保守サービス(AppleCare)そしてApple Payなどによる売り上げは、市場におけるiPhoneの稼働台数に依存している。iPhoneの販売単価が下がっても販売台数を維持することができれば、「サービス」によって売り上げや利益を維持できるというシナリオは成り立つのだろうか。

 「サービス」の売り上げは6155億円(59.8億ドル)ほどで昨年同期から19%増加しているものの、まだiPhoneの売り上げの減少を補うというレベルではない。しかし「サービス」の売り上げが、ソニーの各セグメント(事業)の売り上げを大きく上回っていることには驚く。

 4~6月期のスマートフォンの世界市場で、iPhoneは昨年同期からシェアを2ポイント落とした。依然としてサムスンが1位のシェアを維持しており、アップルとの差はジワジワと広がっている。ファーウェイ(Huawei)の3位も安定しているが、その後には昨年のシャオミ(Xiaomi)とレノボ(Lenobo)に代わって、同じ中国勢力のオッポ(OPPO)とビーボ(vivo)が入ってきた。日本では馴染みのない両社だが、いずれも中国と、東南アジアやインドなどのアジア・パシフィック市場を中心に強力なマーケティングを展開し販売を伸ばしている。

 シャオミも含めて各メーカーのハイエンドの端末を比較しても、すでに大きな差はなくなっている。オッポのR9 PlusはクアルコムのSnapdragon 652を搭載し4GBのRAMを備えて425ドルという低価格、ビーボのフラグシップXplay 5 Eliteは最強のSnapdragon 820と6GBのRAMで650ドルだ。メインカメラは、どちらも1600万画素(iPhone 6/6sは1200万画素)だが、R9 Plusはセルフィー向けにフロントカメラも1600万画素になっている。いずれもiPhoneやサムスンのGalaxyに似たデザインだが十分な高級感がある。

 アップルは特に中国市場(製品全体の売り上げが昨年同期比-33%)とアジア・パシフィック市場(同-20%)で苦戦している。中国固有の問題もあって、iPhoneを差別化するための「サービス」の展開が他地域に比べて遅れていることも大きな原因だろう。すでに端末単体での差別化は難しくなっている。

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