同社広報、ケビン・クリフォード氏によると「サーチ・アンド・レスキューは通常厳しい訓練を必要とする分野だが、ドローン導入により捜索活動などがより効率的に行える。そのために政府機関と提携し、熱感知センサーを搭載したドローンを消防、警察などが扱えるよう訓練も行っている」という。
さらにユニークなのは、ネバダ州政府との連携により、砂漠研究所と共同で「クラウド・シーディング」というプログラムに取り組んでいることだ。これは文字通り「空に雲の核を作り、雨を降らせる」のが目的だ。
中国企業が参入できない分野
プロフェッショナル・ドローンは、今回のFAA規制緩和の範囲内ではない。目視できない地上数キロの高度と飛行時間が必要となる。
そのためFAAから個別に認可を得る必要があるが、こうした高度なオペレーションは中国企業が参入できない分野だ。クリフォード氏も「DJIなど中国製ドローンの産業用バージョンを試しても、米国企業に鞍替えするクライアントが多い。中国製ソフトウェアを使用することでデータの流出などが起こることを恐れているためだ」と指摘する。
3社ともに共通して言えるのは、産業用ドローンはいわゆるホビードローンとは別物だという点だ。どの企業も自らのシステムを「UAS」と呼ぶ。無人航空機システムの意で、地上からラジオコントロールするドローンではなく、コンピュータプログラムによる無人航空機と同様のシステムで運営されている。つまり「空の自動運転車両」に近い存在だ。
今後産業用ドローンに期待がかかる分野としては不動産デベロッパー、建設、海上や山岳パトロール、環境アセスメント、石油ガス、電力会社の保安作業など、数多くが挙げられるが、多くの関係者は「5年後には全く新しいドローンの利用方法が生まれているかもしれない。まだ新しい技術だけに、多くの可能性がある」と語る。
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