2024年4月20日(土)

ドローン・ジャーナリズム

2016年9月8日

産業用ドローンでは米国産の信頼性が高い

 一方でより大型の機材、複雑なエンジニアリング、高度なソフトウェアなどが要求される産業用ドローンでは、安全性の観点からも米国製ドローンへの信頼性が高い。米国の多くのドローン製造業者は、専門的な産業用ドローンに活路を見出そうとしている。

プレシジョン・ホークの「ランカスター5」は小型で「紙飛行機を飛ばすように」簡単に飛ばせるが、自動制御により悪天候やハードランディングにも対応出来る、小型ながら高性能モデル
(写真・PRECISIONHAWK)

 その代表格とも言えるのが、ノース・カロライナ州に本社を置く、農業用に特化したドローン企業、プレシジョン・ホークだ。同社は3Dロボティクスに次ぐ米国で3位の販売台数を誇り、ドローン製作から顧客のニーズに合わせたソフトウェア構築、顧客トレーニング、オペレーションまで、ワンストップで全ての要望に対応できる総合メーカーである。

 同社の上級副社長、トーマス・ホーン氏は「農家により効率的に作業を進めるための総合的パッケージの提供が我が社の強み。播種、疾病予防や手当、効率など、1年を通じて様々な場面で農業が必要とするソリューションを提供する」と語る。

 同社の技術力は日本のヤマハ発動機、NTTが同社に投資を行っていることからも明らかだ。特にヤマハとの提携で、他社も「ドローン技術としては世界最高水準」と認めるヤマハの技術を活用できる点が強みだという。

 またプレシジョン・ホークは特にデータ・コレクションの分野(「温度分布」、「作物の密集度」などを抽出する)に強く、現在は農業用ドローンに特化しているものの、将来はこの特性を生かし石油ガス、建設、鉱山、建造物保険などにもサービスを拡張する可能性がある、という。

 ホーン氏は今回のFAA規制緩和について「農業にとっては基本的に『誰でもドローンを運営できる』ことを意味するため、ビジネス拡大の大きなチャンスだ」と語る。農業用ドローンは無人の耕地上空を飛行するため、今回の緩和により導入への障壁がほぼ取り払われたと言っても過言ではない。ドローンへの規制はまだ各国でばらつきがあるが、ホーン氏は「FAA規制がグローバル・スタンダードとなり、日本や英国などでもビジネスが広がることを期待する」という。


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