2024年11月25日(月)

マイナス金利時代を生き抜く処方箋

2016年9月24日

柔軟な審査対応がウリのリアル銀行

 では、リアル銀行はどうやっているのでしょう? 金利競争は原則行わず、幅広い属性に柔軟に対応することで差別化を図っています。ネット銀行とは異なり、審査は画一的な機械判定ではありませんので、「こういう事情があるので考慮して欲しい……」という特殊対応にも応じてもらえる場合があります。例えば、外国人の借り入れは状況により困難なケースが多いですが、M銀行は旧T銀行の名残もあってか、対応できるケースも多いという話を聞きます。

 ちなみに、もっと幅広い属性に対応できる銀行もあります。それはS銀行(前出のネットS銀行とは別)です。ネット銀行が最も不得意とする自営業も対象としており、低属性のユーザーに対して高い金利(約4%)で融資するのが特徴です。S銀行がこのような際立った商品展開を行っている理由の一つとして、地元の有力地銀、もう一つのS銀行との競争が原因と思われます。もう一つのS銀行との競争に打ち勝つため、独自色を出しているのです。

業者ルートで借り入れを死守

 リアル銀行は集客方法もネット銀行と異なります。銀行の営業マンが不動産業者に営業をかけ、借り入れ(家を購入する際の融資)顧客を送客してもらう方法を取っています。物件売買のあるところに住宅ローンニーズあり、というシンプルな話です。

 リアル銀行はネット銀行と違って拠点・人員は豊富にありますから、そのリソースをフルに活かした案件獲得ができます。また、不動産業者にとってはローンが付くことが重要なので(そうでないと家が売れない!)、低金利ローンの銀行ではなくこまめに営業マンが顔を出してくれる使い勝手のいい銀行を使う傾向にあります。そういうウェットな関係構築に注力するのがリアル銀行の特徴です。

 商品性を際立たせて価格勝負するネット銀行と、マンパワーを最大限活用して業者チャネル・柔軟対応で戦うリアル銀行。住宅ローンはコモディティなので差別化が難しいのですが、各銀行とも工夫を凝らしてエッジを立たせている、実は奥深い金融商品なのです。
 

  
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