WEDGE REPORT

2016年9月24日

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 今年第二四半期、ベライゾンの収益は昨年比で5.3%のマイナスを記録、さらに電話とインターネットのバンドル契約数は昨年比46%も減少した。このような状況の中で、いかに今後のビジネス成長を考えるか。ベライゾンの出した答えがインターネットコンテンツと自動車ビジネスへの進出だ。

自動車ビジネスに勝機はあるか?

 自動車ビジネスに関しては、今年8月にGPSによる自動車のトラッキングシステム運用会社、フリートマティックス社を24億ドルで買収する、と発表された。

 フリートマティックス社は主に商用車の位置確認、燃料使用量、スピード、燃費などをチェックする。これによりたとえば運輸会社などがより効率良く商用車両を管理できる、というのが目的だ。

 商用車の分野で自社のネットワークを活かした車両管理を行う、というビジネスは、ひいてはIoTや自動運転システムへの参入にもつながる。

 IoTでは自動車メーカーと家電メーカーとの連携が注目されがちだが、その通信を担うテレコム会社は重要な役割を果たす。BMWでは本国での自動運転、IoTのパートナーにドイツ・テレコムの存在を強調する。米国でも当然ながら、どのテレコム会社がどのIoTチームあるいは自動運転システムと組むのか、というのは今後重要なポイントとなるだろう。その時、商用車の追跡という面から全米にコミュニケーション網を築いていたベライゾンが非常に有利になる可能性は高い。

 現時点でベライゾンワイヤレスは全米のカバレージ地域の広さ、速度、安定性などで最も高い評価を受けている。自動運転システムが標準になった場合、ベライゾンのワイヤレスサービスを導入する企業は多いだろう。それにGPSによる車両管理が加われば、まさに鬼に金棒といったところだ。

 問題はデジタルコンテンツ、広告、GPSによる車両管理、という新しい部門をベライゾンがどれだけ上手く管理し、黒字ベースに載せられるか、という点にある。例えばデジタル広告では現在グーグル、フェイスブックが1、2位を占め、Yahoo!は3位とはいえその差は非常に大きい。ベライゾンが経営を行うことでこれをどれだけ伸ばし、グーグルに近づけられるのか、という点に注目が集まっている。

 しかしベライゾンの事業拡張は様々な分野に波紋を広げることになる。特に自動車分野への本格的参入という点で、ライバルたちも今後同様の動きを見せることになるだろう。これが自動運転システムの到来に拍車をかけることになるのか。今後の動きに注目したい。

  
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