米国に製造業を取り戻そう。オバマ大統領のこんな掛け声の下、政府が中心となって米国内の製造ハブ作りが積極的に進められている。その一環として今年6月、ロサンゼルスに本拠地を置く「スマート・マニュファクチャリング・イノベーション・インスティチュート(SMII)」がエネルギー省から7000万ドルの政府融資を受け、スマートセンサーとデジタル化による製作工程管理のシステム作りに取り組むこととなった。
過去に政府融資を受けたハブの一つ、America Makesの3Dプリント製造現場(REUTERS/AFLO)
SMIIが目指す製造システムとは
SMIIは200以上の大学、非営利団体、民間企業などからなる集合体で、全国に5カ所の地域センターを持つ。カリフォルニア州ではカリフォルニア大学ロサンゼルス校とロサンゼルス市が協力、メキシコ湾岸ではテキサスA&M大学が石油ガス産業と提携、北東部ではレンセラー工科大学がガラス、セラミック、マイクロエレクトロニック産業と提携、北西部ではパシフィック・ノースウエスト国立研究所が中心となり、ノースカロライナ州では州を挙げて南東部のハブ作りに参画する。
SMIIが目指すのは、スマートセンサーと製作工程管理のデジタル化によって、大企業のみならず、中小企業をも含む製造業者がエネルギー効率を上げ製造時間を短縮させること。
それだけではない。各地域の研究成果を結集させ、オープンソースのプラットホームを導入。オンライン上での技術者同士の意見交換や、技術の販売を可能にし、製造工程管理のデジタル化と一体になった製造システムの構築を図る。