世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年10月7日

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 大国と大国が自らの裏庭と見なす小国群との関係は、ロシア、中国のような専制、覇権国家の場合は性格を異にするので別としても、厄介なものになりがちであるというのは、エコノミスト誌の言う通りです。米国と中米、カリブ海諸国との関係もそうで、大国は小国群を自らの勢力圏として扱い、小国群は大国の「大国主義」に反発しがちです。

 豪州と南太平洋島嶼諸国との関係は、さらに中国の進出という要素があって、豪州にとって頭が痛い問題です。エコノミスト誌によれば、中国の進出は南太平洋島嶼諸国の反発を買い、島嶼諸国の支持を得ようとした中国の努力は失敗したとのことです。失敗とまで断定できるかどうかは明らかではありませんが、中国の影響力に限度があることは確かなようです。

 そうとはいえ、中国が南太平洋諸国に対する働きかけを止めるとは考えられず、豪州は中国の進出を強く意識した戦略を構築するでしょう。豪州は、難民の処遇問題をはじめとして、南太平洋島嶼諸国が豪州に対して抱く不満を考慮しつつ、これら諸国との協力を推進していく必要があります。

 中国が南太平洋島嶼諸国進出を図ったのは、この地域が戦略的に重要だからです。日本も同地域の戦略的重要性を念頭に、同地域への協力に努めてきました。1997年に「太平洋・島サミット」を開催して以来、3年ごとに地域の首脳との会合を重ねています。昨年開催された第7回サミットでは、社会経済基盤整備と人材育成を柱とする持続可能な開発の他に、防災、気候変動、環境などの議題につき議論し、日本の支援を約束しました。サミットには豪州、ニュージーランド、それに第6回会合から米国も参加していて、開かれた形の協力です。豪州とも利害を共有するものであり、今後も豪州とともに南太平洋島嶼諸国との協力を推進すべきです。

  
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