先の長歌でいささか詠み手の勢いにびびっていた読者も、この反歌があることで詠み手に気持ちが寄り添う。詠み手もまたこの反歌を詠むことで、煮えたぎった思いが多少でも冷める自分を感じたことだろう。
書くことはセルフカウンセリングだと私は思っているが、この二つの歌には、激しい嫉妬で傷ついた自分を、自分で癒す、その過程が浮き彫りになっていると思う。
人を愛するのも憎むのも我が心。自分を傷つけるのも自分なら、癒すのもまた自分にほかならないのである。
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。