イラク国会議長のジュブリ氏によれば、スンニ派は過激なジハーディズムのコストを苦難のうちに学び、現実主義の必要性を訴えている。最近のイラクにおける変化や、アバディ首相の前任者達よりも宗派中立的な対応もスンニと中央政府との歩み寄りを促すことになるかも知れない。
IS後への期待を反映して、スンニ社会では再生のためのいくつもの提案が行われている。その殆どは何らかの自治地域創設の考え方を取り入れている。これに対して、イラク分裂への道である、経済的に不可能である、スンニ内での集団指導体制が貧弱等の批判がある。
また、保健や電力等の民生分野での権限移譲はシーア派指導者にも受け入れやすいが、スンニ地域が独自の民兵組織を持つことには強い抵抗がある。
中央政府への信頼が不可欠
スンニを主体とする周辺地域が機能するには、中央政府への信頼が必要不可欠であり、アンマンにあるイラク系研究所のクベイシ氏は、レバノン式の政府重要ポストの各宗派への配分制度を提唱している。このようなスンニ・シーアの和解実現のためには、サウジ始め湾岸諸国がイラクをアラブの同胞として扱うことが必要であるが、決定的に重要なのは米国の継続的なプレゼンスである。
和解への道は苦難の道ではあるが、最近のイラク議会において、今までは離れて議論していたスンニとシーア派系議員が同じテーブルで議論する光景が見られるようになってきたように、各宗派は少なくとも話し合いを始めている。
出 典:Economist ‘The day after’(October 8, 2016)
http://www.economist.com/news/middle-east-and-africa/21708263-once-islamic-state-defeated-what-will-iraqs-angry-sunnis-do-next-day