2024年11月22日(金)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年11月18日

3つの「こ」

 クリントン候補の敗北により、同盟国の意識が薄いトランプ候補が次期大統領になることが決定しました。同候補にとって同盟国は守るべき国ではなく、自国の利益を徹底的に引き出すための取引先なのです。クリントン候補とは異なり、トランプ候補はビジネス感覚で外交・安全保障を捉えているのです。その結果、アジアにおいて中国の自由度が増して海洋進出の動きを強める可能性が高まりました。

 トランプ候補の思考様式には、「コスト、効率、公平・不公平」の3つの「こ」があります。同候補は、通商、外交・安全保障をコスト、効率、公平・不公平という自身の主観的な価値基準で判断する傾向が強いと言えます。これまでの米大統領が主張してきた民主主義、自由及び人権といった他国との共通の価値観とはかなりズレています。今後、日本はトランプ候補の3つの「こ」に悩み、対応を迫られるでしょう。

 2016年米大統領選挙は、一言で言えば分断の選挙でした。トランプ候補の勝利は、世界における反移民、反文化的多様性、反自由貿易体制及び反グローバルの潮流をさらに強化することになりました。今、これらの潮流を止めるリーダーや国が求められているのです。
 

  
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