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2016年11月21日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

東京五輪までに自動運転タクシー

 自動運転車については「自動運転の車が出て来ると、タクシーは要らなくなるのではと思われるが、お客を運べるのは旅客運送事業の免許をもらっている我々しかできないので、タクシー会社が自動運転をやれば勝てそうと思った。そこで、自動車メーカーで最も強くてタクシーの8割の比率があるトヨタと全国ハイヤー・タクシー連合会が今年8月に自動運転車の開発に関して覚書を交わした。20年の東京五輪までにトヨタが開発した自動運転タクシーのデモを行う。

 自動運転に必要なデータは毎日4千台のタクシーを走らせている日本交通が最も蓄積しているので、トヨタのデータリサーチ会社に送って分析してもらう。これを使って再来年までに東京の3D地図を作成する」と述べ、自動運転タクシーの実現に向けて準備を進めていることを明らかにした。

 自動運転のタクシーは、今年9月に米国のベンチャー企業がシンガポールで試験走行を開始、ウーバーも同月に米ピッツバーグの路上で試験走行を開始している。

 AI(人工知能)の活用については「渋滞した際にどの道を走るかはこれまではドライバーの経験に頼っていたが、AIを使えば簡単に最適のルートを選択することができ、テスト段階の現在、AIを活用することで売上が10%上がってきている。タクシーのコストの73%が人件費なので、AIを使って効率的に管理すれば、圧倒的な人件費比率を下げられる余地がある。その意味でタクシー業界はローマージンではあるが、新しいテクノロジーを使えば利益が拡大するチャンスがある。これを生かせるかどうかは経営者の私の才覚にかかっている」と述べた。

アプリを武器に業界を再編

 日本全体で24万台あるタクシー会社はオーナー企業が多く、その多くは先代の経営者が残っているため、アプリについての理解が乏しく、なかなか新しい時代に対応して動いてくれないという。川鍋会長は「その中で戦いたい人にはアプリという武器を渡して、業界再編をしていく中でタクシー業界をもう少し強くしたい。市場規模は年間1兆6千億円あるが、業界トップの日本交通の売り上げは5百数十億円でシェアは3%しかない。トップ企業のシェアがこれほど低い業界はほかにはない」と述べ、最新のテクノロジーを積極的に導入することで新しい時代を生き抜きたい方向を示した。

 配車アプリサービスでウーバーとの違いは「日本交通はタクシーなので、ウーバーよりも圧倒的に捕まえやすい。ウーバーはハイヤー車両なので素敵ではあるが、料金はわが社の方が安い」と話し、競争力は十分あることを強調した。

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