2024年7月22日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年12月1日

 上記の解説記事はバランスが取れ、論点が押さえられています。「核心」という呼称は確かに重要ですが、現時点では、それは習近平がせいぜい江沢民に並んだ程度の意味しかありません。「民主と集中」、「集団指導」、「多数決」、「個人崇拝の禁止」などの党の組織原理は、依然としてしっかり残っているからです。しかし4年でここまで持ってきた習近平の力は率直に認めるべきでしょう。同時にここまで持ってくるために習が政治的妥協をしたことは十分考えられます。それは恐らく来年の党大会の人事に関するものではないかと思われます。江沢民派も共青団派も、来年の党大会において、ある程度の人数は残せる目途が立ってきたのでしょう。この仮説の背景には、習の直系の人材が絶対的に不足しているという事情もあります。これらの全体のパッケージが見えてこないと、「核心」が実現したことに対する正確な評価は難しいと思います。

習近平同志を核心とする党中央

 同時に、六中全会は、党内の管理と監督を強める決定をしました。しかもコミュニケにおいて、中央委員会だけではなく、政治局、政治局常務委員会の委員を特記して、党の決定を率先して実行することを要求しています。上記記事でも書かれているように、「習近平同志を核心とする党中央」への絶対的な忠誠を求めているのです。これを使って自分の意向になびかない人物に圧力をかけるつもりのようですが、物事はそう簡単にはいかないでしょう。来年の党大会に向けて、再び力比べが始まっていると見ておくべきでしょう。習近平の力は強まりましたが、まだ不十分なのです。今後、一つ一つこなしながら、力を蓄えていくしかありません。

 習のこれからを左右するのは経済の動向でしょう。早く本気で党中央の意思の統一を図り、経済合理性に則った政策をタイミングよく出さないと、経済も弱り、それが習、ひいては共産党の命取りになります。日米との対立関係を強めていた頃は、外交も習の命取りになると思っていましたが、外交はかなり修正してきたようですので、当面は経済がカギでしょう。

  
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