2024年7月13日(土)

ペコペコ・サラリーマン哲学

2010年3月29日

 とあるホテルのレストランにある、広い屋外芝生の上でとり行われたキリスト教の結婚式は、明るくて楽しいものでした。誰から見ても愛し合っている、ほほえましい中年の若夫婦の誕生です。90歳になる新郎の母親(私の姉)は、次男のわが子の結婚を手放しで喜んでいる様子でした。なによりも、社会人として独立した長男、この4月に大学院に進む長女、大学3年生になる次女の3人の子どもたちが、心から祝福しているように感じられたことに、私は安堵しました。

 新婦は二人姉妹で、お母さんは10年ほど前に天国に召され、お姉さんは嫁いでいるので、これまでずーっと父娘二人で生活をしてきたとのことです。これからは今までに経験のない東京に出てきて、新郎、長女、次女、義母と同居するのだそうです。

 仲人のいないアットホームな結婚式でした。司会者の案内でまず新郎が挨拶し、新婦の父君が乾杯の音頭をとりました。そして司会者の突然の指名を受け、一人一言ずつお祝いの言葉を述べました。感想、エピソード、秘めた話、新郎・新婦の人となり、好ましい点についてなど、楽しい話が続きました。とても新鮮で、ユニークで温かく、涙を時々拭くのも心地よく感じられました。ほとんどの話が形式ばらない温かい箴言(しんげん)であったのも「むべなるかな」です。2人がお互いに相手を気に入っている感じが手に取るようにわかりました。

 25歳の長男の祝辞が「僕は生まれて初めて結婚式に出たのですが、それがこのおやじの結婚式であったのです」だったのには、一同大爆笑。姑(しゅうとめ)となる私の姉も70歳過ぎから習ったピアノをつたなく弾き、故郷長野の唄を涙して歌いました。新郎の多くの友人たちは長い間本人とは会っていないようで(新郎は子育てで毎日毎日が忙しく、友人づきあいを控えていたのでしょう)、かつて本人が、よく人の世話を前向きにしながらも、難事に積極的に挑戦する人物だと評しました。新婦の友人たちは、一様に本人から「私、結婚します」と突然聞かされてびっくりしたが、今日はいろいろな人の話を聞いて必ず幸せになると確信した、と言いました。

 私にもお鉢がまわってきたので、次のように話しました。「これまで10年間、3人の子どもをしっかり育てきった。えらいぞ! 私は経済・金融・経営評論家だが、世の誰も私のことは知らない(笑)。しかし、かの亀井静香郵政・金融大臣が都立大泉高校の同学年と申せば、年齢だけはおわかりいただけると思う。もうすぐ最終回を迎える朝のNHK連続テレビ小説『ウェルかめ』は自分のための番組だと亀井君が言っているそうですが、本日は、おいでいただく新婦さんに、私たち新郎側の人間みんなから、『ウェルかめ』、心からの『ウェルカム』を申し上げたい。ウェルカム!」

 披露宴の最後の締めは、私の姉の着物姿での万歳三唱であったのが、恥ずかしくもありましたが、とってもよく、新婦の父君がたいへん嬉しそうに目をしばたたかせておられるのを見て、私も思わずじーんっときました。新家庭というミクロ経済の出発点でもあります。新郎新婦に幸多かれと、出席者みんなが願っていたと思います。さわやかな日曜日の午後を過ごせたことに、妻ともども「いい日だったね」と感謝しました。

 甥が会社勤めをしながら3人の子どもたちを育てるという10年間の孤軍奮闘のような力を、日本の政治家に求めたいと思います。家庭の経営と国家の経営の軌は一(いつ)であると、私は考えます。 

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