男女格差が最もない国家でルワンダが世界一
国際的な議員交流団体「列国議会同盟」(IPU、本部・ジュネーブ)の世界182カ国の女性議員数を比較したIPU調査がある。女性議員の割合が最も高かった国は、アフリカのルワンダであった。しかも比率は63.8%。女性議員3人に、男性議員2人という割合である。95年時点の4.3%から大幅に上昇した。一方、日本はお話にならないほど低く何と142位である。日本が100人中11.6人前後に対してルワンダの女性議員さんは6倍の63.8人なのである。ルワンダが世界一になった理由にはジェノサイドの後の男性が激減したこともあるが、ルワンダの女性たちの不屈の努力があった。世界全体からみると、日本は女性の政治参加のみならず社会進出が進んでいるとはいえない現状である。
そのカギはクオーター制を2003年に導入したからである。国会議員の割当制度として女性議員定員を3割以上と決めたのである。発端は内戦で男性が減った後の新政権が苦肉の策で打ち出した「女性の活用」であった。ルワンダをはじめ女性議員の割合が大幅に上昇した国では、何があったのだろうか。IPUの報告書によると、女性議員が4割以上の国は13カ国あるがそのうち9カ国は議員や候補者の一定数を女性にするよう定めるクオーター制を導入しているのだ。これが思わぬ効果を生んだ。「女性の意見を取り入れる風潮が政界から社会の隅々に広がった」。女性も平等に学校に通い、相続権も保障された。世界銀行は10年にルワンダを「ビジネス環境を最も改善させた国」として発表した。大統領の独裁だと欧米から批判もあるがこんなところにも「ルワンダの奇跡」が見え隠れする。
アベノミクスの「成長戦略」の「女性が輝く日本」は実現するのか?
日本では、女性の社会進出を重要課題として推進しているが現状は情けない限りだ。日本は世界の中ではかなり遅れをとっているが世界各国の男女格差を調査した「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート」では日本女性の社会進出度はかなり低い。2015年度の日本の総合ランキングは、145カ国中なんと101位である。先進国の中では最も低い水準であり、昔と比べてもあまり改善はない。この調査での、4つの分野の男女格差についてのランキングでは以下の通りである。
1.経済活動の参加と機会:給与、参加レベル、および専門職での雇用/106位
2.教育:初等教育や高等・専門教育への就学/84位
3.健康と生存:寿命と男女比/ 42位
4.政治への関与:意思決定機関への参画/ 104位
アベノミクスの三本の矢の「成長戦略」の中の一つ、「女性が輝く日本」を実現するためにはこれからの日本は何をすれば良いのだろうか?僕が今回テーマアップした隠れた目的はここにある。これからも閉塞感のある日本社会を飛び出した日本人女性の活躍を後押ししてゆきたい。我々は今回のテーマにみられる「奇跡を起こしてくれる」広い視野を持った能力溢れる日本女性たちを応援するべきである。外に出てみて初めて判ることだが、今や世界に通用する日本人女性がさらに増える時代になってきている。そして、籠田さんの新たなセレンディピティ―が機能し始めたらグローバルな代表的日本女性として次世代の「緒方貞子」さんが誕生することを期待したい。
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