2024年12月2日(月)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2016年11月23日

 昨年に続き、今年の11月にもアフリカのルワンダを訪問した。今回の訪問目的は当社AMJ(アドバンスト・マテリアル・ジャパン社)のルワンダ事務所の開所式である。前回は日本アフリカ議員連盟の三原朝彦議員と山際大志郎議員を来賓として迎えた鉱業セミナーを開催し大成功した。
その流れで当社のレアメタル貿易は順調に増加し、ルワンダと日本との間でトップの取引企業となったからである。

 事務所の開所式を開催するためにはルワンダの政府関係者や日本の大使館やJICA事務所、さらに日本及びルワンダの企業関係者を招待し華やかな開所式となった。ルワンダからはコンフリクトミネラル(紛争鉱物)と呼ばれるコルタンや錫やタングステンが産出する。ルワンダの紛争鉱物の話題は以下のコラムを参考にして頂ければ幸いである。『アフリカのシンガポール・ルワンダ紛争鉱物の背後にあるアメリカの狙い』。また、ルワンダといえばジェノサイドの話題が出るがこちらの方は以下のコラムを参考にして頂きたい。『世界各国の「為さざる罪」ルワンダ・ジェノサイド』。

 さて、今回のルワンダの話題は日本女性の「ルワンダの奇跡」がテーマである。ルワンダの首都であるキガリに住んで活躍している日本人女性にスポットライトを当てたいと思う。今回の主役は日本料理店経営の山田美緒さんのエピソードである。今回のルワンダ事務所のセレモニーは山田美緒さんの経営するオープンしたばかりの日本レストラン「KISEKI」で開催する運びとなったのである。

ルワンダに賭ける女性のベンチャー精神

 山田美緒さんはアフリカ大陸のみならず世界では有名なサイクリストである。大阪外大スワヒリ語科在学中に日本1周6000Km、アフリカ大陸を日本人女性初単独縦断5000km、その後、シルクロード、台湾1周、キューバ、ベトナム、バリ島、中東、アメリカなど世界20カ国以上を自転車で旅したという「猛女」である。

 猛女というのはちょっと失礼なので別の紹介をさせて貰いたい。山田美緒さんはAMJのルワンダ駐在員事務所をお願いしているこれまたアフリカでは大変に有名な山田耕平氏の奥さんだ。山田耕平氏はAMJのレアメタル開発輸入の最前線で頑張っているが、奥さんの美緒さんは単なる駐在員のハウスワイフだけでは飽き足らず、ルワンダで初めての本格的日本料理店「KISEKI」を新規にオープンさせるために東奔西走の毎日である。ご本人はご主人を立てて、自分は単なる日本料理店のマネージャーだと謙遜されるが、私は美緒さんが実質の経営者(日本では女将)だと踏んでいる。

「自転車は世界を繋ぐ」から「食は世界を繋ぐ」への新たなる挑戦

 さて、そこで彼女の過去の歩みを紹介したい。大阪生まれの美緒さんは普通の会社員の家庭に生まれたが、狭い場所に束縛されるのが嫌いで、子供の頃から海外進出を夢見ていたようだ。大阪外大の在学中に自転車で日本を一周したが、日本だけに飽き足らず海外進出を企てた。当然ながらご両親の反対に会い普通なら諦めるところを美緒さんは地方自治体の協力を得て着実に計画を実現に移していった。日本のサイクリストの世界で美緒さんを知らない人はモグリだと言われるが、初めて彼女の海外進出の自転車ツアーを選んだ場所は何とアフリカ大陸縦断の旅だった。

 美緒さんは体力も半端ないが、行動力が凄い。女性である条件は不利に働くから男性以上のリスク管理が必要な訳だ。さすがの美緒さんもアフリカでの危険性は重々承知で丸刈りにして胸が目立たないように晒しを巻いてアフリカ縦断の自転車ツアーに臨んだという。彼女の信条は本来「自転車は世界を繋ぐ」をモットーとしていたが、現在はレストランマネージャーとして「食は世界を繋ぐ」と発想を切り替えて新しい本格日本料理店の起業に挑戦し始めている。


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