2024年6月18日(火)

対談

2016年12月10日

飯田:動きに多様性があるとハピネスの量が大きくなり、ハピネスの量が大きいとパフォーマンスが向上するというお話はとても重要ですね。会社にとってのパフォーマンスだけではなく、個人にとっても働くストレスが少ない職場だと思います。給料は安いけどストレスが少ない職場と、給料は高いけどストレスフルな職場であれば、前者の方がいいという人はけっこういると感じます。あまりにも「給料は安い」だとそれはそれでブラック企業ですが。

矢野:心理学でも経済学でもハピネスは重視されていますが、実際にどうハピネスを上げるのかは人によっても職場によっても、環境によってもまったく異なるので、一般論としてはなかなか成立しにくいですよね。データを使ってその人に最適なサジェスチョンをして、それを受け入れるかどうかは本人、ということができるのがAIやビッグデータの良いところです。

飯田:嫌だったら「嫌だ」と言える自由度が保てないと、コントロールされている感覚が高まってハピネスは下がるでしょうね。

矢野:自分自身は自分でコントロールしているという感覚は、ハピネスとどこかで結びついているのでしょうね。

 今、私が腕と胸に着けているのが加速度センサーです。もう10年着けていますが、データの一つ一つは意味をなさなくても、それが集まるとパターンが浮かび上がってくる。寝起きの時間が不規則だったり、逆に週末はしっかり休んでいたり、など。腕のセンサーでデスクワークの活発さも計ることができます。ある行動にはその行動特有の振動数があるんですね。

飯田:まさにライフログですね。これまでの統計分析のように、事前に回帰式を決めてプログラムを組んで……では、人間に思いつかない答えは絶対に出てこないわけですが、ビッグデータ解析は膨大なデータを前に、何を目標にしてどのデータを抽出するのかに人間のセンスが問われるでしょう。

需要があればAI化は進んでいく

矢野:この研究でわかったもう一つのことは、一日のうちで活発に動ける時間帯はどの人でも限られるということです。リソースは有限で、寝ないで働いた分はどこかできっちり相殺されてしまう。多少の個人差はあっても、そこまで大きな差にはならないんです。

飯田:実感としても徹夜で仕事をすると、時間あたりの作業量が落ちてしまって、実はたいして仕事できていないことが多い。そして量以上に品質はもっと、ですが……。

矢野:行動の多様性とハピネスとの相関は、人や状況によっても大きく違うことがデータから読み取れます。コミュニケーション一つとっても、増えたほうがいいのか、減らした方がいいのか組織によってまったく変わってきます。


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