2024年12月22日(日)

対談

2016年12月9日

*1回目はこちら

AIは人間の「勘」から学習する

矢野:AIと一口に言っても、実は2つの種類があります。1つは検索エンジンのように、機能が限定されたもの。2つ目はまさにわれわれが研究しているものですが、もっと汎用的な機能を持つものです。そして汎用AIが効果的に働くためには、3つの条件が整う必要があるんです。

第1の条件は、アウトカム(目的とする上げたい数値)を明確に設定することです。第2は、アウトカムに影響を与えるさまざまなデータを入力すること。そして第3は、その中でどの項目がコントロール可能かを明確にすること。この3つが整うと、AIはがぜん成果を挙げます。

 たとえば、物流倉庫ではAIと業務管理システムを連動させています。夜中の1時になると大量の情報がAIに転送されてきて、AIが解析し総作業時間をもっとも短くするやり方を導き出す。しかも算出するだけではなく、毎日、算出するモデルそのものを生成するので、解析の精度も日々向上していく、ここまでが自動化されています。

 朝になると倉庫には何千件もの注文が入ってきますが、どこから先に出荷作業すべきかといったスケジューリングをモデルに従って決め、作業指示書を出力するところまで自動化しています。

飯田泰之氏(左)と矢野和男氏(右)

飯田:需要予測まで含めて提案をしてくれるということでしょうか。

矢野:急速に変動する需要に柔軟に対応することができています。昼の間、倉庫で働く人たちは指示書に従って作業します。そこには人間が工夫しながら改善を図る、その自由度も残されているんです。工夫の結果として良くなることもあれば裏目に出ることもありますが、人間の工夫による改善もAIのスケジューリングに反映される。人間とAIがともに学習して生産性を上げることで、需給の急な変動にもきわめて柔軟に対応できるようになります。


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