2024年6月20日(木)

対談

2016年12月10日

矢野:たとえば同じような仕事をしている2つの組織のオフィスを、ある場所から別の場所に移した場合に、一方はハピネスが上がり他方は下がることもありました。コミュニケーションの増加も、組織によってはハピネスを上げ、組織によっては下げてしまう。それはその仕事が組織内のコーディネーションが必要なフェーズにあるか、個々人の集中が必要なフェーズかでも変わってしまうので、本当に状況次第なんですね。

飯田:コミュニケーションの効果を計るにしても、これまでは「コミュニケーション」とは別のどの要素をクロス項に取るかといった部分で分析者のセンスが問われていたわけですが、あらゆる要素をしらみつぶしにクロス解析できるというのはすごいことですね。

矢野:われわれが経験と勘でやっていたものを、もっとシステマティックに、エビデンスベースでやっているんです。

飯田:人間一人の経験の量はたかが知れていますが、ほかの膨大な人の経験も、過去の人々も、バーチャルリアリティで仮構された経験すら参照できるとなると、学習の機会がどんどん増えていくことになる。

ここで大きな課題は、AIの需要をどうやって大きくしていくかではないでしょうか。需要が供給を作るように、AIを使う人が多い場所でこそAIの技術者が育つ側面があると思うんです。大学に投資して技術者教育プログラムを強化しても、需要を育てないとその人たちに仕事がない。「しかたないから銀行に就職しました」ではやっぱりつまらないですね(笑)。

矢野:需要を作るのは重要ですね。ここ1年で企業からのAIへの関心がどんどん高まっていて、需要が生まれるその手前まではきているのですが、経営者も役員もどこに投資したらいいのかがまだわからないのでしょうね。

飯田:なかなかハードルは高いと思います。ビジネスでのプレゼンテーションは「この基本モデルにこういうデータを入れたらこんな結論になりました」というものになりがちです。「広範なデータと無数の仮説の中から、評価基準にマッチした特定のアルゴリズムを抜き出しました」では、経営者の方はイメージがわかないのでしょう。

矢野:そうなんですよ。 私自身も企業での講演やレクチャーを依頼されることがどんどん増えているのですが、うまく伝わっていないことにようやく気がついたところなんです。もうちょっとビジュアルで見せないといけない。

 そこで、AIにブランコの漕ぎ方を学習させるということをやってみました。モーターとジャイロを組み込んで、膝関節が動くロボットを作りブランコに載せ、AIに繋いで「振れ幅を大きくしろ」とアウトカムを設定します。どうやって膝を曲げ伸ばすかは、AIが勝手に判断します。


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