日産・ルノーグループは合計で2016年に850万台の車を販売、これに三菱が加わって2017年には売上台数が1000万台を越える巨大グループとなる。そのCEOであるカルロス・ゴーン氏がCES2017の基調演説を行った。
ゴーン氏は日産・ルノーグループ全体の目標として、まず2030年までに販売するすべての車の15%を自動運転車両とすること、また25%をEVにすることを掲げた。また2025年にはすべての車がインターネットに接続できる機能を備えることになる、とも宣言した。
そもそも日産は2010年にEV「リーフ」を発売、これまでに累計で25万台を売り上げたが、これは世界一の数字だ。2008年に当時のオバマ政権がEV化政策のためにメーカーに融資を発表した際に、最初に対象となったのがフォード、日産、テスラ、フリスカーの4つのメーカーのみだった。ことEVに関しては日産は今でも業界リーダー的な存在といえる。
その日産が提唱するのが「日産インテリジェント・モビリティ」という考え方だ。インテリジェント・ドライブ、インテリジェント・パワー、そしてインテリジェント・インテグレーションを総合したものがモビリティである。ドライブはもちろん自動運転を含めた「ゼロ・エミッション、ゼロ・ファタリティ(死亡事故ゼロ)」を目指すもの。パワーとはEVを家庭用エネルギーの一環に組み込み、ソーラーパワーと組み合わせて省エネ、クリーンエネルギーを目指すもの。そしてインテグレーションとは人と車、車同士などのコミュニケーションを進め、一体化した「シームレス」なインテリジェント環境を作り出すことにある。
この目標のため、日産は日本のDeNAとの提携を発表、今年から日本国内で商業用EVのフィールド走行テストを開始するという。また日産の自動運転システムにはマイクロソフトもパートナーとして参画しており、こちらはAIシステム「コルタナ」を用いた音声コマンドに対応するパーソナルアシスタントを提供する。
日産では完全自動運転へのステップとして
- 高速道路でのシングルレーン走行。これはミニバン「セレナ」などにすでに搭載されており、車がレーンの中央をまっすぐ走るアシストを行うもの。
- マルチレーンの高速道路走行。2、3車線の道路でもレーンチェンジなどを行えるシステムで、2018年には市販車に組み込まれる予定だ。
- 一般道での自動運転走行が可能なシステム。
- 完全自動運転。
という段階を踏み、2030年の15%の販売車両を自動運転車両に、という目的に着実に向かっている。
特に2020年には商業用車両のEV化がメインストリームになる、とゴーン氏は予測する。日本のように宅配車両などが多い国では、配達トラックのEV化は環境の観点からも真っ先に進められるべきだろう。