トヨタがラスベガスで開催中のCES2017で自動運転のコンセプトカー、「愛i」を発表した。トヨタが独自に開発中のAIシステム「ゆい」をコアとし、「車と人との関係性を求めた」デザインだという。デザインは同社のCALTYデザインリサーチセンター(カリフォルニア州ニューポートビーチ)で作られ、コアとなるシステムは昨年トヨタがCESで設立を発表したトヨタ・リサーチ・インスティチュート(マサチューセッツ州ケンブリッジ)によるものだ。
同社の北米上級副社長ボブ・カーター氏は「トヨタは車を単にA地点からB地点に移動するための手段とは考えていない。人と車との間に暖か味のある特別な関係を築きたいと考えた」とコンセプトについて説明した。ゆいによってユーザーの例えば心拍数なども測定され、車がドライバーの気分まで推し量ってくれる、という。
コンセプト愛は未来的なデザイン、上に向かって開くドア、ボディ部分にガラスが多用されている、など人目をひく。今すぐに実用化が可能なものではないが、今後数年以内に日本で走行実験が行われる予定だという。
ただし今回のプレゼンテーションでは素材やシステムの詳細などの説明は行われなかった。自動運転車両であること、AIによって車と人とがコミュニケーションできることのみの説明で、この車がどこを目指しどのような形でドライバーの生活の質を高めることができるのか、不明な点も多い。
多少辛口になるのは、昨年BMWが「ネクスト100」と名付けた地域限定のイベントを行い、同様に未来のコンセプトを発表したが、形としては今回のコンセプト愛に似ているものの、「ホイールカバー部分が形を変えることができ、コーナリングで片方は膨らみ片方は狭まることでローリングを抑える」「ファイバーグラス製のボディで衝撃を吸収する」といった具体的なビジョンがあった。またドライバーの癖や好みを覚えて、乗り込むと自動的に座席の位置を変更させたり好みの音楽を流す、といった人と車のコミュニケーションについても想像できたが、トヨタの場合は「使えば使うほどに車がユーザーについて深く学ぶ」というAIとしての一般的な説明にとどまったためだ。