2024年11月5日(火)

From LA

2016年11月29日

 テスラ・モータースCEOイーロン・マスク氏は11月18日にかねてから主張していたソーラーパネル会社、ソーラー・シティの合併吸収が株主総会で認められた、と発表した。これにより総額20億ドルでのテスラによるソーラー・シティ獲得が確定となった。

 これ以来、マスク氏は積極的にソーラー・パワー関連の発表を続けている。例えば「ソーラー・ルーフはスレートなどの一般的な屋根よりも安く、しかも電力を供給する」と、ソーラー・シティが独自に開発し話題となった、屋根に設置型ではなく屋根そのものをソーラーパネルとする新方式を自ら宣伝。またソーラー発電でEVを充電、というクルマと家庭内電力を一体化したソーラーパワーによるエコシステムの普及を訴える。

「タウ島」のソーラーパネル
 

 マスク氏は株主総会で「テスラはワンストップでソーラールーフからパワーウォール、EVまでを提供できる場所となる。顧客はただテスラ・ストアを訪れ”イエス”と言うだけで、これらのサービスすべてをシームレスに受けられる」と発言、85%の賛成多数でソーラー・シティ買収が認められた。

 これを受けて、テスラとソーラー・シティは新たな共同作業による成功例を発表した。アメリカ領サモアにある小さな島、「タウ島」の完全ソーラーエネルギー化計画だ。

 タウ島は元々エネルギー自給能力がなく、ディーゼル発電機に頼っていた。年間のディーゼル燃料消費量は10万ガロンにも上っていた。(1ガロン=3.6リットル)この地にテスラは60基のパワーパックを設置。マイクログリッド方式で全島に電力を供給するシステムを構築した。

 パワーパックとはソーラーによって発電された電力を備蓄する巨大バッテリーのこと。テスラで独自開発されたインバーターにより、マイクログリッドと連携して必要な電力を適時供給する。テスラによると、パワーパック1基で通常の家庭なら6-7日分の電力を供給するだけの備蓄能力がある、という。

 タウ島には1.4メガワットのソーラーパネル5300基以上が設置され、ここで発電された電力をパワーパックに備蓄、そこからマイクログリッドを通して「パワー・オン・デマンド」の形で電力が各家庭、ビジネスなどに供給される。天候が不順でソーラーパワーが得られなかったとしても、パワーパック内の電力で島全体に3日間は電力供給を継続できる。

 この計画に対するソーラー・シティのコメントは「タウの様子は未来からの絵葉書ではない。これは現在、パワーパックにより何ができるのかを示すスナップショットなのだ。再生可能エネルギーは世界中のエネルギーを必要とする多くの場所に対する解決策になりつつある。ディーゼル燃料に頼っていた島が、ソーラーパワーとバッテリー、マイクログリッドにより完全にエネルギー供給のあり方を変化させられた、という例証なのだ」というもの。


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