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2010年5月10日

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 信じることで、人はどう変わりますか?

 「苦労や痛みが深いほど、信じて人間として向き合ったら、みごとに仏さんになりますよ。表情が穏やかになるんです。アルコール依存症だった人が『なんでわしが酒をやめたかわかるか。ねえちゃんに信じてもらっていることに包まれたら、飲まれへんのや』って。お金も『借用書も取らないくらい信じてもらっていることに縛られる』と言った人もありました。みんな怖いものでも握っているかのように、一番に返しに来ます」

 「お前を信じている」と言うのはたやすい。でも実際には、肩書きとか新聞に載っていたとか紙証文とかを信じているのであって、中身を信じているわけではない。中身を見てくれていないことは相手に伝わるから、「お前を信じている」は何の力も生みださない。だからますます、形がなければ信じられないという悪循環になってきたのが、今どきの人間関係だろう。

 でも、形あるものがあっさりと反故にされることも、珍しくなくなった。やっぱり、形なんてなくても信じあえる関係が一つでも多くあるのがいいと、みんな思い始めているのではないか。入佐と労働者は、相手の内側を見て、信じて、響きあっている。それが人間にとって一番の喜びだということを、教えてくれている。誰か一人とでも、自分がそうやってつながれたら、生きることは楽しい。(文中敬称略)

◆ 「WEDGE」2010年5月号

 

 


 

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