日本では、2016年8月に「玉兎」が停止したことが、ロマンチックな出来事であるかのように報じられたが、中国の月開発は、米国とのエネルギー資源開発の主導権争いでもあり、軍事的な意味も含んでいる。
中国が特に注目する月のエネルギー資源は「ヘリウム3」であると言われる。「ヘリウム3」は核融合への応用が容易な気体であり、中国は、月に存在する「ヘリウム3」の量が、地球上のエネルギー資源使用量の1000年分に相当するとしている。中国は、米国が地球上のエネルギー資源をコントロールした後は、月のエネルギー資源のコントロールに着手すると懸念している。
さらに、中国が想定する月面基地は、恒久的軍事基地として利用される可能性もある。中国では、月面から、月軌道に近い衛星/宇宙船の監視及び攻撃が可能だという意見もある。さらに、月面基地は、深宇宙探査の中継基地にもなり得るという。
日本は、中国の宇宙開発が持つ軍事的意味や米国とのエネルギー資源開発競争という側面を理解し、注意深く観察するとともに、どのように対応していくべきかを議論しなければならない。
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